雪景色の中、大又川橋梁(きょうりょう)を列車が走る――。訪れた人々を魅了する秋田県内の絶景スポットでのワンシーンを、新鮮なアングルでとらえた。

 撮影したのは秋田市に住む会社員、小林尚志さん(47)。「秋田内陸線SNSフォトコンテスト2023―24」で優秀賞に選ばれた。

 このスポットの撮影といえば、写真で橋の奥に写る国道側から行われるケースがほとんど。「新しいアングルで撮りたい」と考えた小林さんは一昨年から所持するドローンを駆使して挑んだ。

 2月の日曜日の朝、列車が橋を渡る時刻に合わせて地上約90メートルの高さにドローンを飛ばし、撮影できたのがこの写真。

 小林さんは「当日は風がほとんどなく、上空は晴れ。天候も味方してくれました。今年は暖冬で雪が少なめだったのは残念。木々にもう少し雪がかかっていれば、もっときれいだったと思う」。

 小林さんが鉄道への関心を深め、その撮影を趣味とする「撮り鉄」となったのは2017年、転職して電車で通勤するようになってから。「秋田内陸線は周囲の景色も素晴らしい。初めて受賞できてうれしいです」

 コンテストは秋田内陸地域公共交通連携協議会が主催。最高の優秀賞(2点)には他に「うさてつさん」(秋田市、氏名非公開)が撮影した写真が選ばれた。満開の桜と車両の赤のコントラストが美しく、桜の花びらが地面まで埋め尽くしているのも目を引く。

 審査に携わった秋田内陸縦貫鉄道の吉田裕幸社長は「地域の魅力を、鉄道を通して広く知ってほしいという願いから始まったコンテスト。時代の流れをくみとり、新しい技術も駆使して撮られた受賞作から、沿線地域の四季折々の素晴らしさを感じとっていただけると思う」と話した。

 一般公募によるコンテストは今回が4回目で、主催者によれば、インスタグラム、X(旧ツイッター)を合わせて計525件(有効数)の応募があった。コンテストは今後も続けていくという。(杉山圭子)