リニア中央新幹線の開業後、新駅と中心市街地を結ぶ移動手段として導入しようと、長野県飯田市が17日、市内で自動運転バスの実証実験を始めた。19〜21日には市民向けの体験試乗会もある。

 今回は7人乗りの電気自動車(EV)に運転手が同乗し、緊急時は手動で操作する「レベル2」の走行。市美術博物館を出発し、りんご並木やJR飯田駅などを巡る約3キロのルートを、約20分かけて回った。

 運行の実務は、測量システム会社「アイサンテクノロジー」(名古屋市)などが担当。あらかじめ地図情報を読み込んだ三次元データをもとに、周辺を歩く通行人の向きや速度の情報もカメラやセンサーで検知しながら、時速19キロ以下で走った。

 この日、体験乗車した佐藤健市長は「速度はゆっくりだが、市街地を回るバスとしては十分なスピード。10年もすれば、技術はもっと進んでいるだろう」と話した。

 市はリニア駅からの二次交通として次世代モビリティ技術の活用を計画。昨年、同社を含む民間企業3社と連携協定を結び、仮想空間上で自動運転車を走らせるシミュレーションを続けてきた。

 市は19日から3日間、今回のバスを使い、事前予約した市民を対象に、市街地を一周する試乗体験会(乗車無料)を開く。

 レベル2であっても、ルート上に障害物を見つけると、自動で減速・停止するシステムを備えているが、市は将来的に運転手の同乗が不要となる「レベル4」の走行を想定。バス路線の維持に役立てることも検討している。(佐藤仁彦)