饅頭(まんじゅう)を日本に伝えたとされる中国の僧・林浄因(りんじょういん)をまつる林神社(奈良市漢国町)で19日、功績をたたえる「饅頭祭り」が執り行われた。

 林は14世紀に来日し、同神社のある漢国(かんごう)神社に住み、小豆あんの「奈良饅頭」を考案したと伝えられている。この日の神事には日本各地から饅頭などの菓子が奉納され、参列者は林をしのび、菓子業界の繁栄を祈った。

 梅木春興宮司は祝詞(のりと)の中で、元日に起きた能登半島地震にも触れた。神事のあと、「災害や世界各地での戦争、紛争のない、饅頭のように丸く心の和む日々が取り戻せるように気持ちを述べました」とあいさつした。

 昨年に続き、江戸時代の史料をもとに県内の和菓子店が復刻した奈良饅頭も限定販売され、多くの客が列を作った。(上田真美)