人口減少やコロナ禍などの影響で継承が危惧されている地域の祭りをサポートしようと、茨城県教育委員会は19日、新たに設けた補助制度の対象として、無形民俗文化財で構成される県内の五つの祭りを選定したと発表した。県教委によると、文化財保護を目的とした祭りへの補助制度は全国唯一という。

 無形民俗文化財で構成される県内の祭りのうち、歴史的・文化的価値が高く、規模が大きいものを有識者委員会が選定した。近世以前から現在まで継承されていることなどが選定基準。国・県指定または国選択の無形民俗文化財を含む祭りで、来訪者数が約1万人以上であることも条件となっている。

 山車の上で繰り広げられる人形芝居「日立風流物」(国指定・国選択)が見られる「日立さくらまつり」や、「石岡ばやし」「富田のささら」(いずれも県指定)が披露される関東三大祭り「石岡のおまつり」のほか、「常陸大津の御船祭」、「潮来祇園祭禮」、「みなと八朔まつり」が選ばれた。

 それぞれ500万円を上限に、県が祭りの運営費や伝統芸能の練習といった準備に必要な費用などを補助する。今月下旬以降、祭りの実行委員会や保存会など主催団体から交付申請を受け付けるという。(宮廻潤子)

■補助対象に選定された祭り

名称               含まれる文化財                    来訪者数   開催状況

日立さくらまつり(日立市)    日立風流物(国指定、国選択)/日立のささら(県指定) 61・9万人 毎年4月

石岡のおまつり(石岡市)     石岡ばやし(県指定)/富田のささら(県指定)     50・3万人 毎年9月

常陸大津の御船祭(北茨城市)   常陸大津の御船祭(国指定)              20万人   5年に1回

潮来祇園祭禮(潮来市)      潮来ばやし(県指定)                 13万人   毎年8月

みなと八朔まつり(ひたちなか市) 那珂湊の獅子とみろく(国選択)            6万人    2年に1回

※来訪者数はコロナ禍以前の2019年観光客動態調査による