徳島県美波町にある四国霊場23番札所・薬王寺の門前の商店街に、新たな土産物店「日和佐日和(びより)」が誕生した。県南を中心にした特産品を取りそろえるほか、地元の事業者と連携して土産品の開発を進める場ともなる。

 オープンさせたのは、美波町に本社を置き、大阪や台湾でも事業を展開しているデザイン会社「まめぞうデザイン」(ドウゾノセイヤ社長)。町がリフォームした木造2階建ての空き家を借り受け、6日からプレオープンとして営業している。

 並ぶのは一般的な土産物店とはひと味違うこだわりの品々だ。「日和ファーム」(阿南市)の米粉麺は、これまではオンライン販売が中心だった。「にいや蒲鉾(かまぼこ)店」(美波町)のフィッシュカツは、海藻を食い荒らす「海の厄介者」の魚アイゴを使っている。かつて栄えた薪炭(しんたん)産業の復活を目指す「四国の右下木の会社」(同)の「樵木(こりき)備長炭」も取り扱う。

 自社製品である「無農薬の瀬戸内レモンジャム」や発酵飲料の「コンブチャ」も人気を呼びそうだ。

 店舗2階の事務スペースでは、デザイン会社として地元事業者の商品開発を支援していく予定。軒先には採れたての野菜も並べ、地域の人も気軽に立ち寄れるようにする。店舗奥に広がる庭では、定期的に人を呼び込むイベントを開く考えだという。

 店長を務める棚橋ひかりさん(31)は阿南市出身。スキューバダイビングが好きで7年暮らした沖縄県石垣島から、昨冬に戻ってきた。「観光客の方にもう一度来たいと思ってもらえる店にしたい。街の歩き方といった観光プランも作り、地域が元気になるようにしたい」と意気込んでいる。

 門前の商店街では商店主の高齢化と観光客減で空き家が目立つようになっており、町が所有者から建物を借り、耐震化やリフォームをしたうえで新たな事業者へ貸し出す事業に数年前から取り組んでいる。今回の日和佐日和は、2018年のラーメン店、22年の革製品店に次いで3例目の開業になるという。

 日和佐日和は品ぞろえを充実させたうえで26日にグランドオープンする。定休日は毎週月曜と第1、第3日曜。店舗情報はインスタグラムなどで発信している。(東孝司)