「人口戦略会議」が24日発表した報告では、2020年から50年までに山形県内28市町村で20〜39歳の「若年女性人口」が半減し、消滅する可能性があると指摘された。全35市町村の8割に相当し、13市のうち鶴岡、酒田両市など7市が該当した。

 国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に公表した「地域別将来推計人口」をもとに、50年までの30年間で、若年女性人口が5割以上減る自治体を算出。最終的に消滅の恐れがある「消滅可能性自治体」と定義した。

 10年前の14年の同様の分析では、今回と同数の28自治体が「消滅可能性」と指摘。このうち、今回の分析で若年女性人口の減少率が5割未満だった天童、南陽、三川の3市町は脱却した。一方、前回該当しなかった長井、山辺、高畠の3市町は今回、減少率が5割以上となり「消滅可能性自治体」に追加された。

 若年女性人口の減少率が最も大きいのは戸沢村(減少率75・1%)で、西川町(同72・4%)、大蔵村(同70・6%)、尾花沢市(同70・0%)などが続いた。

 前回(2010年から2040年まで)との減少率の比較では、消滅可能性自治体のうち9市町村で改善、19市町村で悪化した。減少幅が10ポイントを超えたのは山辺町(14・8ポイント)と西川町(10・9ポイント)だった。

 尾花沢市は県内の市で最も減少率が高かった。結城裕市長は「危機感は持ちつつも後ろ向きにならず、次世代に残すための施策を考えていく」と語る。長年不在だった小児科医も今月、配置のめどをつけた。「子育て日本一への挑戦を掲げ、転出を食い止めたり、移住者が増えたりする環境を整えたい」

 消滅可能性自治体から脱却した天童市。市の担当者は「コンパクトな街づくりや子育て支援施策の充実などさまざまな取り組みが実を結び、市の魅力となっていることが表れたのでは」とみる。

 ここ10年、大型商業施設「イオンモール天童」に近い芳賀地区に新興住宅街が誕生し、子育て世代を含めて住民が増えているという。工業団地を造成し企業を誘致することで、働く場を確保しているのも大きく寄与しているとみている。

 担当者は「買い物や子育てのしやすさ、山形空港や山形駅へのアクセスの良さといった天童市ならではの長所を伸ばしていくのが、人口減少を緩やかにするヒントになるだろう」と話している。

 「消滅可能性」に該当しない自治体も人口減という課題は変わらない。米沢市の近藤洋介市長は、昨年度1年間の市の出生数が過去最低の約360人だったとし、「危機的ではなく危機であるという認識に立っている」と話した。(安斎耕一、大谷秀幸、高橋昌宏)

■消滅の可能性があるとされた28市町村

 鶴岡市、酒田市、新庄市、上山市、村山市、長井市★、尾花沢市、山辺町★、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町★、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、庄内町、遊佐町

★は新たに該当した自治体