【福岡】今年1月、北九州市小倉北区の鳥町食道街一帯で起きた火災で被災した、焼きうどん発祥の店とされる「だるま堂」が26日、小倉井筒屋に新店を開いた。各地で実演販売を続けていたが、店舗での営業にこぎつけた。

 開店を前に店主の竹中康二さん(55)は「発祥の味を一日も早く提供したいと思い、今日に至りました」とあいさつした。いつか鳥町食道街に本店を再建するという願いを込め「井筒屋店」とした。

 だるま堂は1945年、食道街で創業。焼きそばを用意しようとしたが中華麺が手に入らず、うどんの乾麺をゆでたのが始まりとされる。2020年に竹中さんが代表を務める団体が経営を引き継いだ。

 1月の火災では、建物の焼失は免れたが、電気や水道が止まり営業は再開できない状態だ。

 新店では伝統の焼きうどんに加え、ぬかだきや焼きカレーなど北九州名物も提供する。一番乗りで焼きうどんを味わった同市戸畑区の山口史郎さん(86)は「昔と変わらない懐かしい味でうまい」と話した。

 小倉では今月20日にも8店舗が焼ける火災があった。竹中さんは「再建は本当に大変。被災した店を勇気づけられたらうれしい」と話した。(興津洋樹)