駿河、遠江、三河の3国を治めた戦国武将で、禅僧でもあった今川義元の心の軌跡に光をあてた新作狂言「今川」が完成した。今川家の菩提(ぼだい)寺・臨済寺(静岡市葵区大岩町)の本堂で5月11日に公演があり、初披露される。

 5月19日は義元の命日。冥福を祈るため、臨済寺の依頼を受けて狂言師の大蔵教義さんがつくった新作で、自ら義元を演じる。国づくりに感銘を受け、「戦より義元公の功績を中心に作品をつくっていきたいと思った」という。

 物語は、閻魔(えんま)王の取り調べに応じて生前を振り返るという定型の演出をベースに展開する。義元は軍師・雪斎とともに閻魔王と渡り合い、桶狭間の合戦の様子や、見返りを求めず「無功徳」の心持ちで民を救う政治をしたことを語る内容だ。

 臨済寺の阿部宗徹住職は「禅の深い修行をした仏教人であった義元公が、戦国大名として修羅の道に生きた」と義元の心のうちを思いやる。

 午後2時から「今川」など3演目で3千円。定員270人。申し込みは、するが企画観光局のサイト(https://www.visit-shizuoka.com)から。問い合わせは054・251・5880(平日)。(斉藤智子)