【山梨】昨年6月、市民からの請願を受けて、甲府市議会で、政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書が自民系会派などの賛成多数で可決された。当時の請願活動を担った市民団体の歩みをまとめた本がこのほど刊行され、5月2日には市内で出版記念の報告会も開かれる。

 本は「核兵器禁止条約に署名・批准を求める甲府市民の会」(3月に解散)の共同代表だった住職の安藤順真さん(75)、事務局長の坂上玲子さん(74)らが編集した。

 甲府市議会では、2019年と22年に別の市民団体から同様の請願が出されたが、いずれも賛成少数で不採択に。「市民の会」は運動を立て直し、先の請願を出した市民らも加わって、4416人の署名を集めた。

 ロシアがウクライナに侵攻し、核兵器使用をちらつかせていた状況も踏まえて、個々の市議会議員への働きかけも活発に行った。23年6月に市議会に請願を提出した時には、これまで採択に前向きではなかった自民党系会派からも、10人が紹介議員として名を連ねた。請願は、議長を除く31人のうち、自民系会派に加えて、共産党、社民党などの議員17人が賛成して採択。意見書も可決され、県内では6例目となった。

 記録集では、運動に協力した市民のほか、議会で請願に賛成した自民系会派の市議らも寄稿している。安藤さんは「運動を始めたころは『無理かも』と思っていたが、念ずれば通ず。思わぬ人の輪が広がった。他市町村の住民にも本は参考になると思う」と話す。

 「核兵器禁止条約意見書採択 活動記録集」はA4判124ページ。1千円(税込み)。出版記念会は5月2日、甲府市上今井町の浄恩寺会館で午後2時から。出版に協力した人びとの報告のほか、本の販売も行う。本や集会の問い合わせは安藤さん(090・8680・6847)。(米沢信義)