闘牛が盛んな9市町の闘牛関係者らが集い、課題などを話し合う「全国闘牛サミット」が今年は新潟県長岡市で開かれる。サミットに合わせた記念の闘牛大会は、5月26日に同市の山古志闘牛場で開かれる。中越地震から20年。住民とともに犠牲になった牛たちを悼んで黙禱(もくとう)した後、沖縄や鹿児島の牛も参加する取組が予定されている。

 サミットは今年で27回目。島根県隠岐の島町や鹿児島県徳之島町などのほか、「牛の角突き」を開く長岡市と小千谷市が県内から加わり、毎年持ち回りで開催してきた。

 5月26日は、長岡市中心部の会場で飼料の高騰や後継者不足など、各地に共通する課題について関係者が意見交換をする。その後、山古志闘牛場で午後1時から二十数頭による十数回の取組を行う。今大会に備えて、昨年のうちに山古志に搬送されてきた沖縄や鹿児島、岩手の牛5頭も出場する予定だ。

 山古志地域と小千谷市にまたがる山間地はかつて「二十村郷(にじゅうむらごう)」と呼ばれた地域。ここで続く牛の角突きは千年の歴史があるとされ、1978年に国の重要無形民俗文化財に指定された。しかし2004年の中越地震で牛舎が倒壊するなどし、最盛期には200頭以上いた地域の闘牛用の牛が、一時は30頭まで減った。取組の前には、来場者も一緒に黙禱し、追悼の意を示す予定だ。また、三条市出身の全盲のシンガー・ソングライター、佐藤ひらりさんの国歌独唱も予定している。

 山古志闘牛場では今年、5月4日〜11月3日に計11回の闘牛大会が予定されている。このうち5月26日の回については、サミット開催に伴う記念大会として催すという。大会の入場料はいずれも高校生以上2500円。

 サミットを共催する長岡市は、「地域の宝である牛の角突きを継承し、復興した山古志の姿を力強く発信したい」とする。開催費用などに充てるため、クラウドファンディング(https://www.city.nagaoka.niigata.jp/furusato/crowdfunding.html)で700万円を目標に寄付を募っている。(白石和之)