羽毛がある恐竜に着目した特別展が長崎市野母町の長崎市恐竜博物館で開かれている。恐竜の生体復元モデルや骨格標本など100点を展示。5月26日まで。

 同博物館によると、恐竜は1億6400万年という長い時間の中で多様な進化を遂げたとされる。最近では、恐竜が鳥類に進化したという説が多数派になっている。その根拠とされるのが、羽毛を持つ恐竜だ。

 展示では、前期白亜紀の時期の中国東北部・遼寧省に注目。この地域では羽毛の痕跡が残る化石が多数見つかり、「羽毛恐竜の楽園」であったと推測されている。少なくとも20種以上の羽毛恐竜が生息していたという。

 展示で注目されるのは、有名な肉食恐竜ティラノサウルスの仲間「ユティランヌス」の生体復元モデルだ。遼寧省で発見されたユティランヌスは世界最大の羽毛恐竜。1億2000万年前に生息していたとみられ、全長6メートルでふさふさした茶色の羽毛を持った姿が再現されている。

 ユティランヌスが生息していたころの遼寧省は、年間の平均気温が10度と推測され、保温と羽毛との関連性が研究されている。

 一方でアメリカで発見されたティラノサウルスは細かいウロコがあり、羽毛の痕跡はなかった。このことから、恐竜は生息環境によって、羽毛の有無が決まっていた可能性があるという。

 博物館の松浦優花・学習指導員は「恐竜が進化したとされる鳥との共通性や相違点をじっくり観察していただければ」と話している。

 5月6日には展示を監修した高桑祐司・群馬県立自然史博物館学芸員が「空に挑んだ古生物」と題して無料で講演する。会場は博物館近くの野母崎文化センター。問い合わせ先は同博物館(095・898・8000)へ。(天野光一)