佐賀県神埼市にある国の名勝「九年庵(くねんあん)」の春の一般公開が4日始まる。140本を超えるモミジの新緑や40種以上のコケなど明治時代の特色のある庭園と、近代数寄屋建築の建物の調和した景観が美しい。6日まで。

 九年庵は、佐賀出身の実業家の伊丹文右衛門と息子の弥太郎が手がけた。1892(明治25)年に数寄屋建築の別荘ができた。かやぶき屋根やゆがみが残る近代のガラスが使われている雪見障子、竹の皮を編んでつくられた網代天井がある。

 「九年庵」の名前は、1900(明治33)年から9年をかけて庭と共に整備され、現在は基礎だけが残る茶室の名前に由来する。約6800平方メートルの庭園には、約260本のサツキやツツジなどがあり、散策が楽しめる。

 静かな庭園では、小鳥のさえずりなども聞こえてくる。県文化課の安部萌花主事(24)は「自然の声に耳をすませて、ゆったりした時間を過ごしてもらえたら」と話す。公開は午前8時半〜午後5時。美化協力金として高校生以上に500円の負担をお願いしている。仁比山公園駐車場が普通車500円で利用できる。(三ツ木勝巳)