能登半島地震で傷ついたふるさとを祭りで元気にしよう――。そんな思いで、石川県珠洲市寺家(じけ)地区にある須須(すず)神社の氏子たちが立ち上がった。巨大な灯籠(とうろう)のキリコが地区を巡る祭りを9月に開くため、約150キロ離れた金沢市の石浦神社で募金活動をしている。

 「寺家のキリコ祭り」の名で知られる。高さ16・5メートルのキリコは国内最大で、漆と金箔(きんぱく)で装飾された4基が4キロを巡行する。その寺家地区は元日に激しい揺れと津波に見舞われた。多くの建物や道路が損壊し、住民の半数以上が避難している。

 募金は6日まで、石浦神社の境内のブースで呼びかけている。氏子の一枚田愛さん(39)は自宅を民泊用に改装中に被害を受け、工事は中断したままだ。「地区の人たちは『先のことは考えられない』と落ち込み、祭りはできない空気だった」と振り返る。一部の氏子の20人ほどが「希望を見いだすために」と募金を企画した。寄付の返礼は千円以上でお守りか土鈴、2千円以上は地元産のワカメ。「熊本の人から『熊本も復興したから、能登もきっと大丈夫』と言われて涙が出た。祭りで地区のみんなが戻って、復興するきっかけにしたい」

 須須神社では鳥居、灯籠や手水(ちょうず)舎が倒壊し、クラウドファンディングで再建費用を募っている。9日まで。CAMPFIREの特設サイト(https://camp-fire.jp/projects/view/737937)へ。(樫村伸哉)