静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」が「死の灰」を浴びた米国の水爆実験(ビキニ事件)から今年で70年。5年後に公開された映画「第五福竜丸」(1959年、107分)の上映会が12日、焼津市の焼津文化会館である。入場無料だが、電話などで申し込みが必要。

 映画は54年3月1日未明、太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で操業中に水爆実験に巻き込まれた福竜丸の乗組員23人をドキュメンタリータッチで描く。監督は反戦作品で知られる広島市出身の新藤兼人で、俳優の宇野重吉が演じる主人公の無線長・久保山愛吉さんの容体が9月に急変。乙羽信子演じる妻や3人の娘らに見守られながら40歳の若さで息を引き取る。

 公開前年には焼津市内でロケが行われ、作品では当時の街並みもみてとれる。一般公開された時のチケットやパンフレットなどが市歴史民俗資料館に保管されている。

 上映会は同館と東京都立第五福竜丸展示館の共催で、静岡市在住の映画解説者、小沢正人さんのミニ解説もある。

 資料館の担当者は「水爆実験の当時を直接知る人が少なくなった。映画を通じて改めて第五福竜丸の被災を多くの人に知ってもらい、関心を高めてほしい」としている。

 上映は12日午後1時半(開場は午後1時)。終了は同3時45分予定。定員は300人(申し込み順)。鑑賞希望は市歴史民俗資料館(054・629・6847)へ。(林国広)