耐震性が課題の静岡市役所清水庁舎(清水区)が、南海トラフ地震級の巨大地震によって柱や梁(はり)が損傷し、余震で大破する可能性があることがわかった。難波喬司市長が30日、定例会見で発表した。

 市によると、マグニチュード(M)8.0〜9.0規模の巨大地震で想定される11の地震波を入力し、静岡庁舎(葵区)と清水庁舎についてシミュレーションを実施した。地盤調査で清水庁舎に液状化のおそれがあるとわかったことを踏まえて行い、今年3月に耐震性解析が完了した。

 清水庁舎(9階建て)について市は昨年、将来の新築を視野に、当面は耐震改修して使う方針を示していた。解析によると、南海トラフ地震によって、柱や梁が大きな損傷を受けるものの崩壊は免れ、本震直後の退避は可能。しかし、その後の余震で、倒壊の危険が高く建物を使えない状態に至る可能性がある。揺れによる変形は4階以下の低層階が大きいという。

 難波市長は「かなりの耐震改修が必要になる。具体的な補修方法を検討して費用を出し、何年使うのが合理的か、最低限の補修にとどめるのか、といった判断を今年度内にしたい」と語った。

 静岡庁舎(18階建て)は解析によると、低中層階の大梁に損傷が生じるものの、最低限必要な業務を行う機能は維持できるという。(斉藤智子)