ちばフラワーバス(本社・千葉県山武市)は1日から、同社の路線バス「海岸線」(成東駅―本須賀―成東駅)の車両1台に「こども運転席」を設置した。ハンドルや本物そっくりのスイッチを備え、モニター画面に映し出される前方カメラのリアルタイム映像を見ながら、運転士の気分を味わえる。

 市立成東中学校の2年生たちが公共交通の利用を促進しようと、「バスの運転士と同じ目線でプロの運転を体験できる」ツアーのアイデアを出した。同社が今年初めから実現できるか検討し、新潟の先行事例を参考にして座席にシートベルトがある車両を改造した。

 安全面を考慮してハンドルは固定したが、ドアの開閉などのダミースイッチはすべて運転席と同じにした。モニターや「運転台」の縁にはゴムを巻き、ぶつかってもけがをしないようにした。千葉運輸支局には「問題なし」とお墨付きをもらった。

 この車両を導入した「海岸線」は「朝晩でも立っている人がほぼいない状態」(同社)で、沿線の山武市、九十九里町が赤字分を100%補塡(ほてん)して維持しているという。今回の設置費用は約80万円で、地域の魅力を向上しようと山武市が負担した。

 ちばフラワーバスの担当者は「一人でも多くの人に乗ってほしい。20年先に運転士を志してくれたら」と期待している。(織井優佳)