F1第3戦オーストラリアGPの決勝レースではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が43戦ぶりのリタイアを喫した一方で、チームメイトのセルジオ・ペレスは、フェラーリ、マクラーレンの4台に届かず、5位に終わった。予選での走行妨害による3グリッド降格ペナルティを受けて6番手からのスタートだったこと、レース中にフロア下にダメージを負ったためにペースが伸びなかったことなどを考慮すれば、精一杯の結果という評価もあろう。

 しかし予選でのペレスは、フェルスタッペンから0.359秒落ちの3番手だった。たとえ相手がフェルスタッペンとはいえ、同じマシンを駆るチームメイトとの差がコンマ3秒以上というのはあまりに大きすぎる。

 ペレスはザウバー時代から決して一発の速さに優れたドライバーではなく、むしろレースでしぶとく結果を出すタイプだった。だとしてもレッドブル移籍以来の47戦で、ポールポジションはわずか3回、フェルスタッペンとフロントロウに並んだのは4回しかない(うち2回は3番手からの繰り上がり)。その間にフェルスタッペンは23回のポールを獲得してきた。レース結果だけでなく、一発の速さでも大きな差をつけられていることは明らかなのだ。

 今季これまでの2戦も、予選は5、3番手だったが、レースではフェルスタッペンに次ぐ2位表彰台に上がって、なんとか面目を保ってきた。しかしレース内容はといえば、開幕戦バーレーンGPはカルロス・サインツ(フェラーリ)が2秒6、第2戦サウジアラビアGPはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が5秒まで迫った。ともに3位表彰台に終わったものの、ペレスは十分に射程圏内だった。

「今季もレッドブルは確かに速い。しかしフェルスタッペンには敵わなくとも、ペレスなら」というのが、フェラーリドライバーふたりの共通認識ではないか。そしてそれが今回のフェルスタッペンのリタイアで、図らずも現実のものになったと言える。

「王者レッドブルの最大の弱点は、No.2ドライバー」とよく言われる。首脳陣もそれを十分に認識し、来季以降もペレスを起用する意向はなさそうだ。しかし後任最有力のはずだったダニエル・リカルド(RB)は、低迷から脱却できずにいる。となると、そのリカルドを圧倒する角田裕毅(RB)がレッドブルに昇格するのか。今回のような活躍を続ければ、その可能性は十分に出てきそうだ。