レースウイークを通じて快晴に恵まれた“晴れの国”での開幕戦、2024年第1戦岡山国際サーキットでのGT500決勝は王者au TOM’S GR Supraが席巻し、引き続き36号車として戦うエース坪井翔と新パートナーの山下健太が、公式練習、予選、そして決勝82周を制圧しての完璧なポール・トゥ・ウインを達成。背後には陣営内の39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraが入り、トヨタ/GR陣営が前評判どおりのワン・ツー・フィニッシュを決めている。
新型車のデビューやベースモデルの更新、そして開発凍結の解除と新規登録により、新世代の勝負となる2024年シーズンは、導入2年目を迎えたカーボンニュートラル・フューエル(CNF)『GTA R100』の使いこなしや、年間のレース距離を含めた新たな競技フォーマットの攻略など、未知の要素が数多く含まれる。
そんな走行初日を迎えた土曜は、オフテストの好調が伝えられ車体・エンジンともに「実質的な新型」と自負するトヨタ/GR陣営の24年仕様GR Supraが速さを見せる展開に。午前の公式練習、そして2名のドライバーによる“タイム合算方式”へと改められた午後の公式予選ともに36号車au TOM’S GR Supraが最速の地位を誇示し、まずは開幕ポールポジションの座を手にした。
一方、次期型モデルとして早くから投入がアナウンスされてきたホンダのニューモデル、FL5型をベースとするHonda CIVIC TYPE R-GTも、この冬の走り込み期間ではサーキットの相性的に「一番、調子が良くなかった」という公式シェイクダウンの地で下馬評を覆す快走を披露。陣営のエースカーでもある100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが2列目3番手に飛び込んでいる。
そして4台中2台がブリヂストンタイヤにスイッチしたニッサン/ニスモ陣営のZも、今季よりベース車両を“Z NISMO”に更新し、予選Q1では23号車MOTUL AUTECH Zの千代勝正が鮮烈なトップタイムもマーク。最終的には3号車Niterra MOTUL Zとともにグリッド3列目以降から300km決勝での逆襲を狙う。
■オープニングラップの接触で悔しいリタイア
明けた日曜午前のピットウォークから大勢のファンが詰めかけたサーキット上空では、快晴の空を切り裂く航空自衛隊のF-2デモフライトで会場のボルテージが高まると、正午開始のウォームアップ走行では各車が順調にラップを消化。ここでも上位グリッド勢が主導権を握り、午後の82周300km勝負に向け確実に準備を進めていく。
13時30分のパレード&フォーメーションラップを前に、気温は予報どおり26度を超える夏日に達し、日差しが温め続けた路面温度は39度に上昇。週末で一番高い温度条件のなかスタートの瞬間を迎える。
今季最初のホールショットを射止めたのは“チャンピオン”の36号車au坪井だったものの、その背後では複数のドラマが発生。ターン1へのブレーキング勝負でインサイドを抑えた5番手発進の14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也だったが、その際に背後からアウト側に出ていたMOTUL AUTECHロニー・クインタレッリにヒットしてしまう。
これでもつれた5番手争いはリボルバーコーナーを下った先で新たなアクシデントを引き起こし、9番手スタートから14号車ENEOS X PRIMEの背後に迫った12号車MARELLI IMPUL Zのベルトラン・バゲットが接触。これでスピンを喫した大嶋に、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTの太田格之進が激突。これで移籍初戦の太田はクルマを止める事態となってしまう。
さらにGT300クラスでも接触コースオフが発生したことなどから、直後にはフルコースイエロー(FCY)ではなくセーフティカー(SC)が導入され、停止車両の移動やデブリの回収、車両牽引によるコース復帰の補助など、スタート直後から波乱の幕開けとなる。
いつもの規定どおりホームストレートでクラス別の隊列が整えられたことで、予選タイムなしでピットスタートを強いられていた8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTは、リスタートを前に自身のボックスで給油作業のみを完了させた上で、レーシングスピードでのGT300の隊列処理を強いられることなくクラス最後尾に復帰。さらに5周目のピットレーンオープンでは、接触によるダメージを負っていた12号車MARELLI IMPULと14号車ENEOS X PRIMEがピットへ修復作業に向かったため、8号車は実質12番手で勝負を始めることに。
■延々と接近戦が続いた2番手争い
8周目突入でレースはリスタートを迎えると、ここからポールシッターが1分20秒674(11周目)のファステストを記録して大きく逃げを打つ。その背後では2番手の39号車ENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛を中心に、100号車STANLEY牧野任祐と、今季ホンダからトヨタ陣営へ移籍した38号車KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹らが三つ巴の攻防を繰り広げる。
増え始めたGT300のバックマーカー処理も絡め、18周目のアトウッド進入で前が詰まった瞬間を逃さず。自らアウト側へ振った38号車大湯は車列を掻き分けながら100号車牧野とバックストレートを並走。ヘアピン進入までに前に出ることに成功し、これでトヨタ/GRのワン・ツー・スリー体制の一翼を担う。
そのまま1分21秒台前半のラップペースで逃げるGR Supra艦隊のうち、首位の坪井は25周目時点で9秒737、28周目には12秒071と2番手にみるみる差をつける。この28周がレース距離3分の1の“ドライバー交代ミニマム”のウインドウとなり、まずは3番手の38号車KeePer CERUMOに100号車STANLEYが追随するかたちでピットレーンへと進んでいく。
この表彰台争いの『ピット作業直接対決』は100号車STANLEYに軍配が上がり、右フロントタイヤの交換に手間取った38号車KeePer CERUMOは37.2秒の作業静止時間。対する100号車STANLEYは同33.2秒でピットを後にし、山本尚貴が石浦宏明の前でコースインする。
さらに39号車DENSOも32周目突入で34.8秒で中山雄一にスイッチし、続くラップでは首位36号車auも30.5秒という驚異的作業速度で山下健太を送り出し。これで上位勢は36号車、39号車、そして100号車のトップ3へと振り出しに戻ることに。
レース15周目時点で42度を超えた路面温度は、中盤の45周目では45度へとさらに上昇。それでも36号車auのペースは衰えることなく、最後の最後までピット作業を遅らせた暫定首位の僚友37号車Deloitte TOM’S GR Supraが54周目にピットへ向かうと、そこからチャンピオンはクルージングモードへ。
65周目にはGT300クラスのアクシデントでFCYが入るも、マージンが失われることはなく。チェッカー時で11秒の差を持ってディフェンディングチャンピオンが82周を走破して貫禄の開幕ポール・トゥ・ウインで完全勝利。
2番手にはセカンドスティントを通じて背後からの猛攻を凌ぎ切った39号車DENSOが続き、これで24年仕様GR Supraがワン・ツー・フィニッシュでその強さを誇示するリザルトに。
そして最後の表彰台スポットには100号車STANLEYが続き、デビュー戦のCIVIC TYPE R-GTもポディウムの船出となり、名門復権の一歩を刻んだ38号車KeePer CERUMOを4位に挟み、5位、6位にはNissan Z NISMO GT500の2台が続く結果となった。7位は笹原右京がスタートからロングスティントを担当した37号車Deloitte TOM’S GR Supra。ピットスタートから挽回した8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTと姉妹車16号車が8位、9位で並び、ベテランの伊沢拓也とルーキー大草りきのコンビとなった64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTがトップ10リザルト最後のスロットに収まっている。
au TOM’S圧倒の開幕戦。GRスープラ表彰台独占を新車シビックが奪い返す【第1戦GT500決勝レポート】
関連記事
あわせて読む
-
史上初の3時間レース。スーパーGT第2戦富士のGT500ウイナー&PPを編集担当スタッフがガチ予想
オートスポーツweb5/2(木)21:00
-
1周目で終えた開幕戦の雪辱なるか。17号車Astemo太田格之進「勝ちにこだわっていきたい」/第2戦富士プレビュー
オートスポーツweb5/2(木)20:20
-
GT500史上初の3連勝で歴史に名を刻んだau TOMS坪井翔。前人未踏4連勝なるか? 開幕戦から46kg増も「チャンスはゼロじゃない。今回は優勝にこだわりたい」
motorsport.com 日本版5/2(木)19:14
-
大注目のビッグネーム多数。5月8日開催のスーパー耐久富士公式テストのエントリーリストが発表
オートスポーツweb5/2(木)19:08
-
「ひとり勝ちは許さない」ライバルたちに見た逆襲への光明【GT500シーズンプレビュー】
オートスポーツweb5/2(木)13:30
-
SUPER GT第2戦プレビュー 激変のシーズン、第2戦は初の時間制レースに
J SPORTS5/1(水)17:39
-
【富士最高速チェック:GT300】単独トップのapr LC500h GTにFIA-GT3勢が続く/スーパーGT分析
オートスポーツweb4/28(日)12:00
-
【富士最高速チェック:GT500】ニッサンZが上位に。ホンダ・シビックは結果が分かれる/スーパーGT分析
オートスポーツweb4/27(土)12:14
-
中山雄一選手(No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra)「何回か危ないシチュエーションがあって、そのたびに心拍数が上がった」 | SUPER GT 2024 第1戦 岡山【SUPER GT あの瞬間】
J SPORTS4/26(金)12:00
-
-
元王者ジロラミ完勝。新型クプラ・レオンVZが2戦連続のワン・ツーデビュー/TCRヨーロッパ開幕戦
オートスポーツweb4/25(木)7:20
-
FL5型シビックRに乗る伏兵が3戦2勝の金星。新王者も今季初勝利/TCRオーストラリア第3戦
オートスポーツweb4/23(火)7:30
-
スーパーGT第2戦富士のエントリーリストが発表。GT300の12チームが第3ドライバーを登録
オートスポーツweb4/22(月)13:53
-
STZクラス 優勝覆る大波乱 グループ2決勝
中日スポーツ4/21(日)8:58
-
ST-Z暫定トップの26号車raffinee Zがまさかの降格。柳田監督は「チームの責任」と悔やむも新型の速さを実感
オートスポーツweb4/20(土)22:48
-
何が起きた? 僅か4秒差で"天国と地獄" ホンダvsトヨタ、白熱のピットストップ"逆転劇" シビックタイプRが鼻先を制した劇的決着の瞬間
ABEMA TIMES4/19(金)11:51
-
各メーカーの性能が拮抗し過ぎたから? 開幕戦で追い抜きの少なかったGT500にHRCも訝しげ「かつてのスーパーフォーミュラのよう」
motorsport.com 日本版4/18(木)12:17
-
サーキット騒然!AMG GTが突如"半回転スピン" GT-Rとの“僅かな接触”が明暗を分けた危機一髪の瞬間
ABEMA TIMES4/18(木)11:50
-
今季唯一の耐久戦は新型クプラ・レオンVZ TCRのレイス&フォレスティ組が制覇/TCR南米開幕戦
オートスポーツweb4/17(水)17:30
-
スポーツ アクセスランキング
-
1
桃田賢斗、出番なく日本代表活動終了 バド男子日本は1勝3敗でマレーシアに敗れ準々決勝敗退 【トマス杯】
TBS NEWS DIG5/2(木)22:01
-
2
快進撃・今永昇太が女性レポーターを爆笑させた一言 「本当にそんなこと言った?」と米ファン虜
THE ANSWER5/2(木)21:03
-
3
巨人・阿部監督 秋広には「あまり期待しないほうがいいです」 元木大介も苦言「監督は真剣に…」
スポニチアネックス5/2(木)19:06
-
4
U23アジア杯決勝直前、大会最強のウズベキスタンを日本は破れるか?二人の天才を揃えた強敵に迫る
Qoly5/2(木)20:00
-
5
【新体操】フェアリーJ、パリ切符逃す 会心「ソーラン節」も2位で5大会連続五輪ならず
スポニチアネックス5/2(木)21:19
-
6
右腕の切断報告の佐野慈紀氏、一部の声に怒りをにじませて反論「勝手な発言は腹が立ちます」
サンケイスポーツ5/2(木)19:42
-
7
球場騒然! カブス・今永昇太のストレートで“異変”が起きた…!? 三振したバッターのリアクションがヤバすぎると世界中で話題に「打てそうで打てない」「そりゃキレるわ」
ABEMA TIMES5/2(木)22:00
-
8
ドジャース女性リポーターワトソンさん「ステキ」な純白ドレス姿 大谷翔平そばに立つ姿が話題
日刊スポーツ5/2(木)21:13
-
9
〝連休〟の大谷翔平 今季初欠場はハチの影響? 米メディア駆除遅延による「休息減」を指摘
東スポWEB5/2(木)20:44
-
10
インドネシア先制、イラク反撃弾 勝てばパリ五輪出場決定…U-23アジア杯3決は譲らぬ展開
FOOTBALL ZONE5/3(金)1:20
スポーツ 新着ニュース
-
「洗濯物が綺麗に出てくる。当たり前じゃない」西尾隆矢が代表活動で見せたスタッフへの“気遣い”。思いやる姿勢を貫く背景にあった父の言葉【U-23アジア杯】
SOCCER DIGEST Web5/3(金)7:04
-
コスパ最悪なのは? バルセロナ年俸ランキング1〜10位。活躍と金額が見合っていないのは?
フットボールチャンネル5/3(金)7:00
-
いきなりサイ・ヤング賞候補!全米を震撼させている今永昇太 驚異の回転数でボール1個分以上“鬼伸びる”ストレートがデータにもくっきり
ABEMA TIMES5/3(金)7:00
-
ヤバい! 何が起きてるか分からない…!? カブス・今永昇太のリアクションがヤバすぎると話題に ファン騒然 「貴重すぎる」「可愛すぎるだろw」
ABEMA TIMES5/3(金)7:00
-
【ケンタッキーダービー】日本勢2頭の強力ライバル 米国“2強”は2歳王者&状態抜群の重賞連勝馬
スポーツ報知5/3(金)7:00
-
【スポニチ調査ファイル(4)】須磨翔風・槙野遙斗 阪神・才木先輩の背中を追う大型右腕
スポニチアネックス5/3(金)7:00
-
【100歳 甲子園球場物語】「土守」の教え 開場から連綿と受け継がれる
スポニチアネックス5/3(金)7:00
-
阪神のブルペンの柱 岩崎の存在感は絶大 1日の漆原の快投呼んだ“一声”とは
スポニチアネックス5/3(金)7:00
-
【C大阪】鳥海晃司、首位死守へ「勝つだけ」3日ホーム札幌戦3戦ぶり勝利&5度目無失点目指す
日刊スポーツ5/3(金)7:00
-
34年ぶりの東京ドームは「夢の結晶」 近くて遠かった大舞台
毎日新聞5/3(金)7:00
総合 アクセスランキング
-
1
スッピン披露の衝撃! 羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんの“裏アカ”か、一部ファンで話題に
週刊女性PRIME5/2(木)20:00
-
2
藤井貴彦アナが「アナウンサー界の大谷翔平」と大絶賛する人物は… 「1回もギスギスしたことない」関係性
スポニチアネックス5/2(木)21:00
-
3
《那須焼損遺体夫婦》「自分は2000万円もらって…」黒幕の1次下請け“指示役”佐々木光容疑者28歳が地元福岡に残した「悪評」と「長髪写真」
文春オンライン5/2(木)21:00
-
4
『Believe−君にかける橋−』まさかの急展開に視聴者ざわつく「橋作りドラマかと思ってたのに…」「予想外すぎる」
ORICON NEWS5/2(木)22:15
-
5
アン ミカ、ロケ途中でお疲れさまも言わず無言で帰宅…現場は騒然、高そうな私物バックにも注目集まる
ABEMA TIMES5/2(木)20:00
-
6
桃田賢斗、出番なく日本代表活動終了 バド男子日本は1勝3敗でマレーシアに敗れ準々決勝敗退 【トマス杯】
TBS NEWS DIG5/2(木)22:01
-
7
橋本環奈 「千と千尋」ロンドン公演初日を突然休演し謝罪「ご心配をおかけしました」 1日で復帰し完走宣言
デイリースポーツ5/2(木)20:21
-
8
〈那須2遺体〉事件後「体調が悪い」とウソをつき地元福岡に“逃亡”していた「アニキ」は“宝島ロード”のキャッチだった!彼が沖縄にいた本当の目的と、未読のままだったLINE
集英社オンライン5/2(木)22:12
-
9
和田正人 先輩の女芸人にブチギレられ「トラウマ」 浜田雅功すぐ「俺わかる」さらば森田が実名暴露
デイリースポーツ5/2(木)22:36
-
10
「家政婦のミタ」長女役、激変ぶりに仰天!「もののけ姫」のような姿…「イメージ変わりすぎ」と話題
スポーツ報知5/2(木)19:38
東京 新着ニュース
-
盗撮か、シンガポール外交官のスマホに写真700枚 銭湯で10代男子生徒を狙い発覚 任意同行を拒否
東京新聞5/2(木)23:15
-
東京メトロ社員が「落とし物」を着服か 落とした人になりすまして現金計23万円あまり 処分する方針
東京新聞5/2(木)23:12
-
パリ五輪出場を決めたU-23日本代表がウズベキスタンに負けると“まずい”理由…順位が本番メダルの行方を占う組み分けに反映
RONSPO5/2(木)21:52
-
車いす利用者の参加「お断り」と通知 「東京みなと祭」の水上タクシー体験 外部から指摘を受け撤回
東京新聞5/2(木)21:20
-
それほどまでに防御率0.78のカブス今永は凄いのか…チームメイトだけでなく敵将までが大絶賛「えげつない」「ピッチングができる」「10年前からMLBにいるみたい」
RONSPO5/2(木)21:15
東京 コラム・街ネタ
特集
記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C)2024 SAN'S