浜松市の遠州灘海浜公園篠原地区に整備予定の新野球場について、静岡県が30日まで実施した基本計画素案に対するパブリックコメント(意見公募)に、100件以上の意見が寄せられたことが分かった。新野球場整備は知事選(5月9日告示、26日投開票)でも争点の一つに浮上している。候補者の間でも整備方針に対する意見が異なり、選挙結果が事業そのものに大きく影響を及ぼす可能性がある。
 県が実施したパブコメに対する意見は2021年度が平均18・8件、22年度は33・6件で、新野球場に対する県民の関心が急激に高まっていることがうかがえる。県によると、野球場の規模と構造に関する意見が目立った。内容を精査した上で6月ごろに基本計画を取りまとめる方針。
 県は野球場の規模と構造を①1万3千人の屋外型②2万2千人の屋外型③2万2千人の多目的ドーム型−の3案に絞り、素案に盛り込んだ。近くで産卵するアカウミガメに影響を及ぼさないよう屋外型の2案は照明設備を設けない。概算事業費は70億〜370億円。
 新野球場整備は知事選でも主要争点となっていて、候補者の考え方に注目が集まっている。
 元副知事の大村慎一氏(60)は出馬表明後の18日に整備予定地を視察した。「ドームは理想的」としつつ、建設費や維持管理を課題に挙げ「県民の意見を聞きながら判断する」との考えを示す。
 前浜松市長の鈴木康友氏(66)は市長時代に地元経済界などと川勝平太知事にドーム型球場を要望してきた経緯がある。「開放型にすることで空調などの設備を大幅に削減できる」と主張する。
 共産党県委員長の森大介氏(55)は野球場の建設そのものに反対の立場だ。「莫大(ばくだい)な予算を使い、津波浸水域という問題もあり、ふさわしくない」と訴える。
 県は基本計画に3案を併記し、用地取得と並行して1案への絞り込み作業を進める方針だが、川勝知事の突然の辞職によって先行きは不透明になっている。