静岡市は、徳川家康が築いた駿府城をデジタル技術の活用で再現しようと、企業版ふるさと納税や寄付金の募集を始めた。高精細な天守のVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の映像を制作し、現地で楽しめるようにすることで、市の歴史文化の発信や誘客促進につなげる。
 葵区の駿府城公園内では近年の調査で発掘された天守台を、野外展示施設としてそのまま公開している。当時の石垣を間近で見られる一方、天守や歴史をイメージしにくいとの指摘がある。
 デジタル技術を使い、現地や近隣の展望施設から天守台にスマートフォンを向けると画面越しに天守が浮かび上がる仕組みを構築する。発見済みの史料を基に駿府城の歴史が分かるVR映像も制作する。
 市は2026年度末までに天守台跡の野外展示施設を整備するとしている。デジタルを活用した天守の映像は、施設の整備完了に合わせて27年4月の公開開始を目指す。市歴史文化課の担当者は「(デジタル技術の活用で)駿府城の歴史をビジュアルで理解できる。歴史学習や市内の周遊につながるツールになれば」と期待を込める。
 事業費は1億円で、寄付金の目標額は5千万円。企業版ふるさと納税、企業・個人の寄付金は既に受け付けを開始していて、個人のふるさと納税は9月からスタートする。受付は25年2月までの予定。問い合わせは市歴史文化課<電054(221)1085>へ。