友杉篤輝

 課題だった遊撃のポジションに、ルーキーが見事にはまった。開幕一軍をつかんだドラフト2位の友杉篤輝が、攻守で躍動している。併用が続く藤岡とともに、昨シーズンは定まらなかったポジションをチームの強みに変えた。

 初モノづくしの日々を送る。4月2日のソフトバンク戦(PayPayドーム)に二番・遊撃でプロ初スタメン。6回に快足を飛ばして遊撃へのプロ初安打をマークした。同18日の日本ハム戦(エスコンF)では初の猛打賞。本拠地ZOZOマリンでのお立ち台にも上がり、「試合より緊張した。人前で話すことが緊張します」。初々しさも残るが、堂々の活躍だ。

 スピードを生かした守備と走塁には定評があった。どちらも「1歩目を大事」に取り組み、特に守備は開幕前から本人も自信をのぞかせていた。首脳陣を驚かせたのは、打席での対応。大学時代に磨いた逆方向への右打ちを武器に、状況に応じた打撃が光る。4月26日の西武戦(ZOZOマリン)では、1対1の同点で迎えた7回裏一死一、三塁の場面で何とか一塁方向に転がし、決勝点を生んだ。「逆方向に打てるのは、どこの場面でも使えること」。プロでも通用する手応えを得た。

 福浦ヘッドコーチは「昔の荻野みたいな感じ。練習は全然だけど、ゲームになると対応力がある」。ベテランと重ね、本番での強さを評価する。まだまだ覚えることが多いことは本人も自覚する。「フルで出てもケガをしない、疲れない体をつくりながら、1年間やっていきたい」。三拍子そろった不動の遊撃手へ、戦いながら鍛えていく。

写真=井沢雄一郎