心理学の研究者3人が卑猥な言動を繰り返したり、無断で女性を撮影したりするセクハラ行為をしたと2023年11月、弁護士ドットコムニュースが報じた件で、日本心理学会が3月21日、3人に対する処分を発表した。

同学会のホームページによると、今回の行為が倫理規程に抵触すると判断し、2人を「厳重注意」、1人を「注意」とすることを決定した。2025年6月総会まで、学会を代表して行う職務を辞任・辞退するよう申し入れるという。

関係者によると、3人はそれぞれ大学の助教や講師を務める30〜40代の男性で、臨床心理士・公認心理師でもある。

このうち大阪大人間科学研究科助教の30代男性については、同大が3月19日、ホームページでセクハラを認定し、停職1カ月間の懲戒処分を行ったことを発表した。また、人間環境大(愛知県)も取材に応じ、懲戒処分(譴責)済みだと明らかにした。HP等では公表しないものの、学内と被害者への報告を終えているという。一方、東北地方の公立大は「本学からお話しすることはございません」との回答だった。

詳しい経緯はこちら。「僕と骨伝導しますか?」心理学者3人、研究用チャットで女性にセクハラ発言連発 学会が処分

●大阪大の同じ学科で別のセクハラ問題も

3人が共通して所属する3学会のなかでも最大級の規模である日本心理学会は、2023年11月時点では「事実があったかなかったも回答しない」との対応にとどまっていた。

今回の処分は阿部恒之理事長名で発出。3月3日の付議を受けた理事会が「人権への配慮」「権限濫用の禁止」「互いが安心して研究活動や学会活動に参加し従事できる環境を作ることに努める」などの規程に抵触すると判断したという。

また、大阪大は「1年半の長期にわたって、研究用ワークスペース内のチャンネルにおいて、女性研究者の意に反する性的発言を繰り返す等のセクシュアル・ハラスメント行為があった」と認定。任期付教職員就業規則に基づいて処分を決定し、以下のようにまとめた。

「誠に遺憾であり、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしました。今回の事案を厳粛に受け止め、今後このようなことが生じないよう、教職員の意識向上に一層努めるとともに、鋭意、再発防止に努めてまいります」

大阪大人間科学研究科をめぐっては、1月にも多文化共生の研究プログラムで女子学生に対するセクハラが多発していたとして「教職員一同」が謝罪などの文書を公表し、話題となっていた。

このほか、3人が所属する日本認知療法・認知行動療法学会は「慎重に調査・対応を進めている」と回答した。