沖縄にやってきたライダーが衝撃を受ける独自ルール「バイクは第1通行帯を走れ」が全面撤廃に向けて動いています。道路の車線数に関わらず、バイクは第1通行帯を走らないと指定通行区分違反に問われる、という理不尽にも思える独自ルールが、約40年を経て役目を終えようとしています。

残された通行区分規制は約33km

 沖縄県議会は、2025年度の一般会計予算を含む当初予算案を一括して可決。来年度の予算が成立しました。この中で沖縄県の二輪車の通行区分規制解除にかかる費用についても認められました。歩道橋などに設置された規制看板や道路標示の撤去のための手当がついたことから、今年も規制区間の解除を進めます。

「二輪を除く」と書かれた第2通行帯、第3通行帯の路面標示
「二輪を除く」と書かれた第2通行帯、第3通行帯の路面標示

 1980年代、バイク事故が全国的に増え続ける中で、その抑制のため沖縄県では、バイクが走ることのできる車線を限定するという形で主な幹線道路で通行区分規制が行なわれました。バイクの通行を第1通行帯、つまり最も歩道側の車線に限定するというルールです。

 指定された区間はいずれも本島の南北を結ぶ主要道で、クルマ社会の沖縄県でバイク移動をする場合には避けて通ることはできません。車線数も3〜4車線あり、1982年に規制が始まった時には、国道329号など約82kmの長さに及ぶ規制区間がありました。

 一方で、道路交通法は左折時の通行方法を定めています。四輪車を含むすべての車両が『あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って徐行』です。

 これが沖縄県のバイクルールでは、直進したくても第2通行帯に車線変更して走ることは許されません。また、交差点の手前で左から右へ一気に右折車線に入る必要があります。けして、第1通行帯をバイク専用にするわけではありませんでした。

「県内でも、すべての人がバイクのルールを知っているわけではないし、県外から来る人はまったく知らない。この規制を残しておくことのほうが危険ではないか」

 規制の問題点を指摘したのは、バイクショップの業界団体である沖縄県オートバイ事業協同組合など地元の声を聞くバイクユーザーでした。

バイクの通行を第1通行帯に限定する規制標識。よくよく見ると、ほぼ24時間だった
バイクの通行を第1通行帯に限定する規制標識。よくよく見ると、ほぼ24時間だった

 こうした指摘に、沖縄県警は理解を示しました。約40年にわたって続いた規制は2021年に約11kmを解除。その後は毎年、解除区間を伸ばしました。

 現在残っている規制は総延長約35km。すでに沖縄県公安委員会の規制解除決定を終えています。規制標識や道路標示の撤去工事の経て「バイクは第1通行帯を走れ」の沖縄ルールが姿を消すことになります。

 詳しい解除時期は示されていませんが、2024年度中に実施されます。

【規制解除の歴史】

●2021年3月=約11km
国道329号(東恩納南交差点〜コザ交差点〜比屋根交差点)

●2022年3月=約22.3km
国道329号(比屋根交差点〜与那原交差点〜兼城交差点/20km)
国道58号(城間交差点〜勢理客北交差点/2.3km)

●2023年3月=約13.5km
国道330号(普天間交差点〜コザ交差点/7.5km)
旭橋交差点〜古波藏交差点〜上間交差点〜兼城交差点/約6km)

●2024年予定=約35km
国道58号(旭橋交差点〜勢理客北交差点/約4km)
国道58号(城間交差点〜嘉手納南交差点/15km)
国道330号(古波蔵交差点〜普天間交差点/約16km)