今、「漬物」が窮地に立たされています。
これまでは、届け出ることによって家庭で作った漬物も販売することができていましたが、法改正により6月からは漬物の製造が許可制になり、設備なども整えなければ販売することができなくなりました。
漬物の製造が盛んな地域で始まった、ある取り組みとは?

野菜を程よいサイズに刻むと、まとめて容器へ…。
シンプルな調味料のみで短時間漬ける「浅漬け」です。

内部須恵子さん
「農家として野菜を作っていますので、野菜を産直に出したり割れてるのとか規格外とかを漬物に加工したりして出しております」

島根県雲南市で農業などを営んでいる内部さん宅。
20年以上も前から、とれた野菜で漬物を作り、市内のスーパーなどに卸しています。

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しかし…

内部須恵子さん
「もう辞めようと思ったんですよ、もう辞めようかなと思っとったけど…」

実は今、この漬物をめぐる、ある問題が起きています。

雲南市農林振興部 小林洋治 次長
「そもそも法律で漬物といった加工品の製造業の営業許可を取るのがハードルが上がったということで、改修をきちんとしないと生産者さんが出荷できないという法律の改正があったのが背景にございます」

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これまでは、届け出ることによって家庭で作った漬物も販売することができていました。
しかし食品衛生法の改正により、6月から、保健所で営業許可を取得することが必要となったのです。

許可の取得には、設備などの条件をいくつも満たす必要があるため、個人で製造していた人などは、コスト面から断念するケースが全国的に相次いでいるのです。

同じように一度はやめようと思った内部さんを引き留めたのは、市のある制度でした。

雲南市農林振興部 小林洋治 次長
「個人、グループそれぞれございますけど、施設の改装費とかそういったものを助成するという制度になっております」

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もともとは自宅の通路となっていた場所を、補助金を使って加工場に。
個人の場合、最大30万円を支援する取り組みに、雲南市は全国でいち早く乗り出しました。その理由が…

雲南市農林振興部 小林洋治 次長
「市内では産直が昔からありまして、中でも漬物は人気のある商品ですから、市としましても生産者の方に継続して安心して作っていただけるような環境を整えようということで。今後も引き続き支援していきたいと考えています」

農家にとって漬物は冬場の重要な収入源であると同時に、市にとっても守っていきたい地域の味。

しかし今回の法改正で、辞めていく人がいるのも事実です。

内部須恵子さん
「その法律もね、田舎のちょっとしたものをちょっと提供するだけなんだから。
私の先輩なんかもっと美味しい漬物を漬けられますわね。たくわんなんか、私なんかその人に比べたら足元にも及ばんのに。
もうちょっと簡単にできる方法考えてあげれれば、このまま今までの人も続けられるのにって思いますけど」

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法改正で窮地に立たされている漬物。地域の味を失わないために、自治体の工夫が続いています。