42歳で未経験ながら初めて客室乗務員(CA)になったとX(旧Twitter)で話題の空飛ぶおりょうさん(@risetogether_ca)。紆余曲折したキャリアを経て20年越しの夢を掴んだ背景には、自分の可能性を常に否定しないおりょうさんの生き方がありました。

当時は男性の募集が少なく…いったんは諦めた夢だった 2021年10月 カナダの近所の自然公園にて

── 42歳でCAになったことがSNSで話題になりました。念願だった就職とのことですが、まずは空飛ぶおりょうさんのことを少し伺えますか?

空飛ぶおりょうさん:はい。関西外国語大学を卒業後、新卒で日系の大手ホテルに就職しました。その後、ニュージーランドで1年間のワーキングホリデーに挑戦し、いったん日本に戻りましたが、また海外で働きたいという思いが再燃し。31歳のときにカナダのトロントに移住しました。

渡航後、最初の1年半は予め資格を取得していた日本語教師の仕事につき、2014年にカナダのモントリオールに移り、2015年からゲーム翻訳の仕事に携わりました。州の公用語であるフランス語を学び始めたのは33歳のときです。2017年に公認移民コンサルタントとして起業したのですが、2022年にパンデミックの影響で事業を閉鎖。IT関連のスキルを身につけて仕事を探したものの就職は難航していました。そんなときに応募したひとつが今回の客室乗務員の仕事でした。

── なぜ客室乗務員の仕事に就こうと思ったのでしょうか?

空飛ぶおりょうさん:出身大学がCA輩出校で、自然と自分の周りにもCAを目指す人が身近にいたことから、大学時代からこの職業に憧れていました。また、CAに転職したホテルの同期も偶然ですが、同じ大学出身でした。ただ、当時の日本は今のようにLCCなどもなく、大手の日系航空会社では女性に比べて男性の客室乗務員の募集が少なかったかと思います。いったんは諦めた夢でしたが、ずっと心残りでした。

その後も、元々私がCA職に興味を持っていて、語学の才能も知っている友達が、「挑戦してみたら」と時々言ってくれることはありました。今回はIT職での就職活動の難航もあったため、今まで以上に激励してくれたんです。

また、たまたまその友達のパートナーが元客室乗務員をやっていたことから「君なら絶対に採用されるはずだから!」と、今までのホテルの経験や話し方など見てそう思ってくれたのか、声をかけてくれました。募集要項を見たら必要条件を満たしていたので、チャンスがあるならやってみようと、思いきって応募しました。

── 客室乗務員に応募してどのような流れで進んでいったのでしょうか? 

空飛ぶおりょうさん:友人に激励されたのが2月1日で、翌日の2月2日にWebで航空会社に履歴書を送信しました。その日のうちに航空会社から連絡があり、5日後の2月7日に面接することになりました。2月28日に航空会社から正式な雇用オファーを受けとり、3月26日にCAの研修がスタートしました。