アートや音楽を通じ「これからの100年を想像する機会の提供」を目指す芸術イベント「山武市百年後芸術祭」が、同市内で開催されている。アーティスト15人ほどが参加し、JR成東駅周辺や九十九里浜など4エリアで計約20作品を展示。作品を通じ、同市の歴史や自然、文化に思いをはせることができる。5月19日まで、土日祝日に行う。

 同イベントは千葉県誕生150周年事業の一環として、同市で実行委員会を組織。参加や鑑賞を通じ「過去100年や現在を考え、さらに今後100年を考える」ことを理念にする。内房地域で開催中の「百年後芸術祭−内房総アートフェス−」と同じく、音楽プロデューサーの小林武史さん(64)が総合プロデューサーとなり、アート展示や音楽イベントなどを行う。

 初日の4月27日には、1920年に日本で最初の天然記念物に指定された湿原「成東・東金食虫植物群落」で小林さんらによる音楽イベントを開催。100年前と変わらない光景が広がる同湿原で、観客約70人が演奏に聴き入った。小林さんのファンという市川市のパート女性(43)は「この湿原の存在は今まで知らなかった。とてものどかな場所で、演奏もすてきだった」と感想を語った。

 アート展示は、市中心部の「JR成東駅周辺」、大昔の地層が観察できる「柴原」、山武市出身で歌人・小説家の伊藤左千夫の生家が保存されている「市歴史民俗資料館」、広大な砂浜が広がる「九十九里浜」の4エリアに分けて実施。県立成東高出身(同市)のアーティスト、Zennyan(田井中善意)さん(39)が伊藤左千夫の小説「野菊の墓」から着想を得て制作したビデオゲームアートなど、同市の歴史や文化に沿った作品を鑑賞できる。

 開催時間は午前10時〜午後5時。鑑賞チケットは一般千円、小中高生500円(県内小中高生は無料)、小学生未満無料。問い合わせは実行委事務局(電話)0475(80)1131。