多治見市の有形文化財に指定されている多度神社本殿(同市平和町)の保存修理工事の見学会があり、住民ら72人が職人による檜皮葺(ひわだぶ)き屋根の葺き替えの伝統技術に間近で接した。

 多度神社は1573年、雨乞いの神として有名な三重県桑名市の多度大社から神を迎えて創建。2022年に市有形文化財に指定された。葺き替えは数十年間隔で行われており、江戸時代の1688年の棟札も残る。今回は1977年以来となる葺き替えで、今年夏ごろに完了する。

 本殿の檜皮葺き屋根はヒノキの皮を使い、耐久力や保存力に優れている。見学会では、名古屋工業大の麓和善名誉教授や、寺社建築の改修工事などを請け負う「友井社寺」(兵庫県丹波市)の関係者が解説。職人が、竹くぎを一つかみ口に含んで口先から1本ずつ出しては、きれいに並べた檜皮にテンポ良く打ち込んでいく様子を見守った。

 見学した多治見市の小島直樹さん(50)は「別の場所で修理の現場を見たこともあったが、これだけゆっくり見たのは初めて。建築もだが、技術もずっと残っていってほしい」と感動していた。(吉本章紀)