穴水町中心部の穴水商店街を流れる真名井川の橋の欄干に、町特産ボラがモチーフの小型「ボラのぼり」が飾られ、地元の人の目を楽しませている。毎年恒例の川渡しが地震で中止を余儀なくされ、代わりに住民有志が取り付けた。

 本来なら真名井川にはこの時期、大型のボラのぼりが川渡しされる。2008年、前年の能登半島地震で被災した地元の子どもたちを励ますため、穴水商店街の店主らでつくる町まちなか再生協議会がこいのぼりを掲げたのが始まりだ。

 しかし、元日の地震でロープを渡していた片岸の建物が損壊し、川渡しが困難に。全長約60センチの小型のボラのぼりは、付近に住む清水一洋さん(55)が「何もしないのは忍びない」と持ち寄り、橋近くで文具日用品店を営む吉村扶佐司さん(76)夫妻と13匹を取り付けた。

 清水さんは「少しでも商店街が明るい雰囲気になってくれれば」と願う。町まちなか再生協議会のメンバーでもある吉村さんは「地震があっても来年に向けてつないでいきたい」と空を泳ぐボラのぼりを見つめた。 (小林大晃)