従業員や自身の介護離職を防ぐため、高岡市商工会女性部は本年度の新規事業で介護の勉強に取り組んでいる。6月まで全7回、医師や社会保険労務士ら女性4人の専門家から、介護の実情や仕事と介護を両立させるための制度を学ぶ。介護離職するのは大半が女性で、講師の同性の立場からの助言を事業継続につなげる。 (松村裕子)

 4回目の14日、市福岡支所で医師の種部恭子県議が「『老いる・生きる』を考える」をテーマに講義し、部員10人が聞いた。種部さんは、自宅で最期を迎えたい人が多いにもかかわらず、ほとんどの人が病院で亡くなっている現状を説明。自らの介護体験から「最期に何を食べたいか、早いうちから家族で話して。本人の意向に沿ったことが自分の満足にもなる」「介護離職するのでなく、仕事を続けるべきだ。自分の居場所がある方が介護が長続きする」と助言した。

 福岡町福岡の菓子店経営鈴木一十美(ひとみ)さん(57)は「とてもためになる。介護は人のためと思いがちだが、自分のためにもなると思った」と話した。

 女性部員79人の中心は50〜60代で、経営の中核を担いながら親の介護もする世代。従業員でも介護離職するのは、ほぼ女性。介護世代の熟練従業員の離職は貴重な人材の喪失で、人手不足の中で後任を見つけるのも難しい。勉強会は女性の悩み事を女性ならではの発想で乗り越える試みとして国の持続化補助金を受けた。

 勉強会で得た知識で介護に悩む顧客に助言すれば、地域貢献にもつながる。村上委千子(いちこ)部長(60)は「介護に直面している部員は介護について話せる場があれば、それだけで気が楽になるはず」と話し、途中からでも1回だけでも、部員の参加を促している。