今期の春ドラマでは似たドラマや出演者がかぶる事態が発生中だ。記憶喪失系が5本、裁判がからむドラマが5本。さらに、同時期放送の複数の作品に出演している俳優も多く、ネット上ではちょっとしたパニックが広がっている。

 記憶喪失が登場するドラマはフジ系『366日』『アンメット』、TBS系『くるり〜誰が私と恋をした?〜』、TBS系『9ボーダー』、日テレ系『約束〜16年目の真実〜』。

 また裁判がからむドラマがテレビ朝日系『Destiny』『Believe―君にかける橋―』『JKと六法全書』、TBS系『アンチヒーロー』とNHK連続テレビ小説『虎に翼』だ。

 同じテーマが重なるだけでも既視感たっぷりだが、さらに今期は、複数のドラマに重複して出演する俳優が異常に多い。

 たとえば俳優の上川隆也は『Believe』でこわもての刑務官を演じたかとおもえば、『花咲舞が黙ってない』で面倒見のよい主人公の叔父として柔和な笑顔をみせる。ほかにも、矢本悠馬、YOUやMEGUMI、平岩紙、本田翼なども2作品に出演する。

 さらに厄介なのは、別のドラマなのに、似た境遇や性質をもつ人物をどちらの作品でも演じている俳優が多い点だ。

 女優の木南晴夏はフジ系『おいハンサム!!2』で人生に迷う3姉妹の長女役を演じ、TBS系『9ボーダー』でもくしくも、苦労する3姉妹の長女役をつとめる。

 馬場徹は『アンチヒーロー』で、被告を有罪にしようと不利な事実を隠す検事として、『Destiny』では汚職をもみ消すことに成功した議員として、いずれもふてぶてしい態度で法廷に立つ。

 一ノ瀬ワタルは『アンチヒーロー』と『Believe』で、常にいら立ちをみせ、粗暴な行動が目立つ脇役を演じる。

 ネット上では「今期のドラマ、役者死ぬほど被ってない?」「同じ時期に俳優さん被るとちょっと混乱する」「あっちもこっちも被ってる役者さん多すぎ」「一瞬どのドラマだっけ?ってなる」など困惑の声があがる。

 だが、まだ春ドラマが始まって1カ月ほど―。視聴者はあと2カ月余りも、これらの既視感と付き合わないといけない。ひょっとして、視聴者の力量が試されている?