バドミントン男子で元世界ランキング1位の桃田賢斗(29)=NTT東日本=が18日、東京都内で会見を開き、27日から中国・成都で開催される国別対抗戦「トマス杯」をもって日本代表を引退すると発表した。

 黒のスーツと淡いブルーのネクタイで登壇した桃田は「このタイミングで感謝の気持ちを伝えたいと思いました」と説明した。引退の理由については「(2020年の)交通事故から苦しいことがたくさんあった。気持ちと体のギャップが続く中で、このまま世界一を目指そうっていうところまでいけない。体が動けるうちにジュニア選手、競技の人たちと羽を打つ時間がほしいなと思い決断しました」と話した。

 2018、19年の世界選手権を連覇するなど絶頂期だった20年1月のマレーシア遠征中に交通事故に遭い、右眼窩底(がんかてい)骨折。シャトルが二重に見えるほどの重傷を負った。復帰するも、悲願の金メダルを狙った東京五輪は1次リーグ敗退した。

 けがなどもあり、今夏のパリ五輪の切符もとれなかった。今後は国内で現役を続けるとともに、地域貢献活動にも取り組むという。世界で活躍するも五輪出場は東京大会の1度だけだった。後輩達には「偉そうなこといえない」と苦笑しつつ、「1度経験した立場からすると、いつも通りのことをいつも通り発揮する難しさを感じた。結果を考えることなく、悔いのないように出し切ってほしい」とエールを送った。

 ▼桃田賢斗(ももた・けんと) 1994年9月1日生まれ、香川県三野町(現・三豊市)出身の29歳。2012年世界ジュニア選手権優勝。富岡高(福島)を経て13年NTT東日本入り。15年世界選手権で銅、16年リオデジャネイロ五輪前の同年4月に違法賭博問題で出場停止処分を受け、17年5月に復帰。18、19年世界選手権を連覇、18年9月には世界ランク1位に輝いた。20年1月にマレーシア遠征中の交通事故で右眼窩底を骨折。21年東京五輪は1次リーグ敗退。