桜満開とともに盛期を迎えたアマゴ釣り。岐阜県郡上市の長良川(郡上漁協管内)で増水後の引き水パターンとなった11日、地元名手・桜井好文さん(64)に密着した。たたき出された釣果はまさに圧巻。幅広の“デンデンアマゴ”が桜吹雪のなか舞っていた。 (中日釣ペン・餌取春義)

 「喫茶リオ」(郡上市八幡町吉野)のマスターでもある桜井さん。郡上でも名の通ったアマゴ釣り名人で「銀次郎の釣りブログ」も発信中だ。郡上長良川は桜満開後に降雨増水。11日は引き水で釣り可能となった。アマゴが一気に動きだすパターンだ。午前6時、長良川本流には川虫のヒラタを採取する桜井さんの姿があった。

 通常はヘチマやブラシなどで石の表面をなでて採るが、桜井さんは素手で石をなでて採る独特のやり方だ。この日、竿を出したのは同市大和町の和合橋下流。水位は約20センチ高。左岸から入川して午前7時スタート。タックルは渓流竿7メートル、水中糸・フロロ0・3号、ハリス0・25号80センチ、針4号、オモリはガン玉で流れに応じてサイズを使い分ける。餌箱の中に砂を入れるのが特徴的で、この方が川虫が元気にもつそうだ。

 石裏の流れのヨレに投入する。流し方は餌が先行するドラグドリフト。早々にアマゴが釣れて宙に舞った。体高のある20センチだった。その後もポイントを転々とし、アマゴを引き出していく。リリースサイズも多いが出足好調。根掛かりなどのハリストラブル時は、水中糸との結合部分からハリスを簡単に交換できるようになっていた。80センチというハリスの長さは、父親から教えてもらった郡上職漁師の伝統のやり方だという。

 増水後はアマゴも餌を食いまくるので腹パンパン。おなかが満たされたデンデンアマゴも瀬脇におり、餌が流れてくると出てきて食うという。しつこく餌を流して仕留めたのはデンデンの22センチ。今度は分流の左岸スジに照準を合わせ、えん堤落ち込みの頭で餌を流す。竿に角度をつけたドラグドリフトでアマゴの口先に餌を送り込むと、面白いようにアマゴが釣れてきた。

 右岸スジに移動すると連発だ。さらに釣り下って左岸スジを攻略していく。えん堤の下の流れだが、水位は高く、速い流れとなっている。少し立ち込んで対岸の瀬脇を探る。平水から渇水時は釣れないポイントだが、増水時は釣れるという。反応があり、1匹を釣り上げた。

 次いでデカいのをバラしたが、桜井さんは「1匹釣れる時は、餌が流れてきていると思うのか、周りのアマゴも連鎖反応で活性が上がって釣れます」と言う。ここで竿が大きくしなった。竿を上流に倒し、速い流れの流芯を横切らせて慎重に玉網ですくう。これはデカい! 25センチくらいはあるか。写真を撮る際に手からポロリと逃げられてしまったが、大きなデンデンだった。

 一通り釣ったら場所移動。かんじの瀬から午後は西河橋下流へ。リリースサイズが多いが数を稼ぐ。ウィンドパーク前では速い流れの中の石裏のたるみを狙う。釣り下って良型を数匹追加し、午後4時半に終了した。17〜23センチを30匹ほどキープし、15センチ以下は20匹ほどリリース。まさに圧巻の釣果だった。

 釣ったアマゴは八幡町の仕出屋「杉錠」に卸している。「上手やな、やっぱりお前は」。辛口のおやじさんに褒められるとうれしいと桜井さん。先週の稼ぎも相当な金額だったようだ。郡上アマゴもいよいよハイシーズン突入だ。年券6000円(身障者・女性4000円)、日券1500円(同1000円)、25歳未満は無料。(問)郡上漁協=(電)0575(65)2562

 ※YouTube「えとチャン!TV」でも配信予定。