◇29日 中日11―1DeNA(バンテリン)

 中日は投打の歯車がガッチリかみ合って、11―1で大勝。再び、貯金生活に突入した。

 ”超過勤務”をしっかりこなした。2019年の移籍から7イニングが最長だった松葉が竜で初めて上がる9回のマウンド。詰めかけた満員の観客は万雷の拍手を送る。後押しされた左腕は先頭の蝦名に右前打を許したが、代打・京田をニゴロ、8番・石上を三ゴロに仕留め2アウト。神里を中飛に打ち取ると、グラブをたたいて喜んだ。

 2016年7月29日の西武戦(京セラドーム大阪)以来の完投勝利に、「沖縄の読谷で今年は完投しますと宣言して誰もできないだろうと思っていたと思います。でも、やりました!」。ヒーローインタビューで高らかに叫び、右拳を掲げた。

 130キロ後半の直球に変化球を巧みに織り交ぜて打者を幻惑する投球スタイル。打順3回り目に捕まることが多く、先発で5回まで限定という起用になった。5回でマウンドを降りる姿を見たファンに「定時退社」と言われることもあったが、「当時はチームに必要とされるところでやるだけと思っていました」と振り返る。

 その気持ちが動く瞬間があった。先発陣が打ち込まれることが続いた昨夏。練習日に柳が投手陣を集め、「先発陣で引っ張っていきましょう」とハッパをかけた。「自分の5回までという制約が歯がゆくて、チームの力になれていないことが悔しかった」。その悔しさが左腕に完投という目標を植え付けた。