◇競馬コラム「馬産地インサイ道」

 キタサンブラック(牡12歳)の半弟であり、兄の主戦を務めた武豊騎手を背に、青葉賞を快勝したシュガークン(牡3歳、栗東・清水久)。育成を手掛けた北海道新冠町のパッショーネにとっては、2015年の開業以来、初めての中央重賞勝利となった。

 「辻子(依旦)オーナーからお話を受けた時には『ウチでいいのですか』と聞き返しました」と話すのは、パッショーネの西野城太郎代表。牧場に来た頃のシュガークンは、緩さが残っていただけでなく、他の馬より体力面で見劣っていた。そこで西野代表は、入社2年目で体重の軽い女性スタッフを、シュガークンの背中に乗せていく。

 「彼女なら血統の先入観を持たずに、目の前の馬へ向き合ってくれると思いました。負担をかけずにスピード調教を行えただけでなく、日によっては一万メートルのハッキングキャンターも取り入れました」(西野代表)

 パッショーネで競走馬としての基礎を作っていったシュガークンは、未勝利戦からの3連勝で青葉賞を優勝。見事に日本ダービーへの出走権をつかみ取った。

 「育成馬のダービー出走はシュガークンが初めてとなります。自分もまたがってきましたが、性格も良くて折り合いも付くだけに、距離の不安はありません」(西野代表)

 牧場では半弟のアルマデオロ(牡2歳、栗東・清水久)も管理されており、デビューに向けて順調に調教が行われている。

 「ダービー当日は競馬場に応援に行きます。オーナーや関係者の皆さんと、喜びを分かち合えるような走りを見せてほしいです」と西野代表は期待を寄せていた。