◇15日 J1第14節 名古屋3―1FC東京(豊田スタジアム)

 名古屋グランパスは、FWユンカーがハットトリックを達成する活躍を見せ快勝した。ホームでは3戦ぶり勝利で、勝ち点を22に上積みした。

 勝利の使者、名古屋の貴公子が完全復活した。FWユンカーは、前半33分にPKを中央に決めると、後半21分に左足、同26分にヘディングで得点し、ハットトリックを達成。浦和に在籍した2022年5月18日の横浜M戦(埼玉ス)以来となる快挙を成し遂げた。

 「帰還」を印象づけたのは、らしさが詰まった2得点目だ。MF小野のロングボールを胸で収めると、左のMF和泉に預けてゴール前へ。和泉のリターンを右足でトラップすると、左足で地をはう一撃を打ち込んだ。

 トラップは、若干浮いた。「正直、意図的なのか、タッチが悪かったのかは覚えていない」と振り返ったが「浮いた分、早くシュートを打てる。それは意図していた。ストライカーとして、その状況に最適な解、方法を選ばなければいけない。それができたシーン」と自負を込めた。

 3得点目も、実に点取り屋らしい、狙いを持ったプレーだった。左CKのこぼれ球から、右サイドでMF稲垣がクロスを上げると、ニアでフリックするように頭で合わせた。「枠に飛ばすことを意識した。枠に飛ばせば、何かが起きる。もちろんゴールに入るかもしれないし、こぼれ球になって味方が詰められるかもしれない。なるべくファーを狙った」と解説した。

 3月16日の柏戦(三協F柏)で右膝内側半月板損傷の重傷。5月6日の広島戦(Eピース)に戦列に戻り、この試合が先発復帰戦だった。「勝てたのが大きい」と繰り返した、生粋の負けず嫌い。「2点目を取ったのが非常に大きい。昨季は2得点目を取れずに残念な試合があった。自分だけでなく、チームももう1つレベルを上げる意味があったと思う」。頼もしすぎる背番号「77」が、グランパスをまた強くする。