第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した俳優・鈴木亮平。さまざまな漫画原作のドラマや映画に出演する彼は、小さい頃から北条司の漫画『シティーハンター』の主人公・冴羽リョウに憧れていた。この度『シティーハンター』が鈴木亮平主演で実写化。動画配信サービスNetflixにて世界独占配信中だ。インタビューでは、冴羽リョウや『シティーハンター』への思いを熱く語ってくれた鈴木。そんな彼に「漫画原作の作品を演じるうえで意識していることは?」と聞いたところ、リョウが時折見せるような真剣な表情で「ファンのイメージが重なっている部分をブラさないこと」という答えが返ってきた。
■俳優をやるなら冴羽リョウを演じてみたい
――小さい頃から『シティーハンター』のファンだったという鈴木さん。作品のどういったところに惹(ひ)かれましたか?
鈴木:ストーリーも冴羽リョウも二面性があると僕は思っていて。ふざけているパートとシリアスなところの幅がすごいんです。ここまでの幅を持つ作品に僕は出会ったことがないので、そこに惹かれました。振り切っていますよね。
――バトルシーンでは、基本的に真剣な表情を見せます。
鈴木:そうですね。リョウは、例え馬の頭が下半身に付いていたとしても、基本的にはシリアスに戦います(笑)。
――小さい頃は冴羽リョウになりたかった?
鈴木:なりたいなんておこがましいことは言えないですけれど(笑)。でも、憧れはありましたね。俳優をやるならいつか冴羽リョウを演じてみたいという思いはありました。
――念願がかなった今の気持ちを聞かせてください。
鈴木:『シティーハンター』の舞台は新宿ですが、ニューヨークのような雰囲気もどこかで感じられますし、登場人物の造形もすごくスタイリッシュなんです。いろいろな観点から日本で日本人が演じるとなると、実写化するのはすごく難しいと思っていて。実際、5〜6年ぐらいは「実写やれるかも、やっぱり駄目でした」ということが続きました。その中でついにNetflixさんが手を挙げてくれて。そういう経緯なので、自分のなかでは「夢をかなえたぜ!」というより「やっと企画が通ったから、これを良いものにしないと」というプレッシャーのほうが大きいかもしれません。
――プレッシャーを感じているんですね。
鈴木:作品は自分のものではないですからね。自分も含めたファンの人たちのものですから。それに加えて、見たことがない方々にも面白いと思ってもらわないといけないわけで。撮影が終わった今でも、プレッシャーのほうが大きいです。
――実際に演じる時はどんなことを意識されましたか?
鈴木:リョウは本心と見せている顔が常に違うんです。本心は一瞬しか見せないんですよ。過去にテレビスペシャルの『シティーハンター ザ・シークレット・サービス』でリョウが怒りの表情に変わる時があって。あのシーンで僕は「ここだけ本心を見せてきた!」と感じたんです。それを実写のお芝居でやるとトゥーマッチになってしまうのですが、台詞などで表現できればと思って。本作では後半の「黙ってあの世で土下座してろ」って台詞だけがリョウの怒りが見えるところになればいいかなと思い演じていました。
■“令和の新宿”を描いた『シティーハンター』に
――日本が舞台で銃器を扱う作品となると、リアリティを持たせるのが難しかったのではと思います。ミリタリー銃のトレーニング的なものはどれくらいされましたか?
鈴木:武藤さんという方にガンアクションについていろいろと教えていただきながら、トレーニングを重ねました。なかでも暗闇のなかで台詞を言いながら銃を解体するシーンは大変でしたね。銃のバネを、最後に飛ばしたかったんです。トレーニングでは飛ぶ時と飛ばない時があったのですが、本番はちゃんと飛びました。こだわったシーンなので、ぜひ見て欲しいですね。
――脚本の制作にも関わったと聞きました。具体的にはどういった意見を出しましたか?
鈴木:脚本制作が進んでいくと、いろいろな方向で面白くするためにアイデアが出るんです。ただ、それがファンとして見た時に「違う」と思うところがあって。例えば、リョウと彼の相棒である槇村秀幸(安藤政信)が関わる仕事が“政治家の性的スキャンダルをもみ消す”という内容だったんです。でも、これはシティーハンターなら絶対に受けない仕事なんですよ。シティーハンターが仕事を受けるのは、心が震えた時。そこにもう一度戻りましょうという話をしました。
――原作ファンが脚本会議に参加した感じ。
鈴木:そうなんです(笑)。みなさんを困らせたかもしれません。でも、自分がリョウを演じるだけで終わりではいけないと思っていて。『シティーハンター』のファンに届けるのであれば、そこはちゃんとしなければと思いましたし、脚本チームの方々も本当に真摯に原作と向き合ってくださいました。逆に僕も僕で、原作オタクを発揮し過ぎた時に「いや、それじゃあ知らない人はついてこられない」と言ってくださって。試行錯誤しながら制作したんです。いろいろと新しい要素をたくさん入れてはいますが、愛のある改変に絶対にしないといけないというところは、常に相談していましたね。
――原作愛を感じました。
鈴木:一方で、原作のジョークを今の時代にそのままやると、現代の観客にとっては受け入れられない表現も多いのは事実で。リョウが嫌われてしまうことは絶対に避けたかった。それに、現代だったらSNSも存在していますし。あとは、令和の新宿が舞台ということで、「現在の新宿が抱える社会問題のようなテーマをどれくらい入れても良いものか」など議論しました。
――今回は令和の新宿を舞台に物語が描かれるので、現代に合わせて変更した部分がある。
鈴木:そうですね。難しかったのは、僕らが『シティーハンター』と聞いて思い浮かべるあのワチャワチャ感が、本作で描かれる槇村の悲劇の直後ではできないということ。どうやって僕たちが知っている『シティーハンター』感、ノリやバイブスを出すのかを考えた結果、コスプレ会場で冴羽リョウが下半身に巨大な馬の首を取り付けて暴れる“もっこり”シーンを追加したという感じですね。
■実写は“ファンのイメージをブラしてはいけない”
――さまざまな配慮があるなかで“もっこりダンス”がしっかり作中に入ってきて驚きました。
鈴木:あれは、『シティーハンター』になくてはならないものですので、当然かなと(笑)。最初は脚本になかったのですが、無類の女性好きのリョウが自分の体を張らないのは、やっぱりダメだと思って。ぜひ入れてくださいとお願いしました。実際にやると決まってから「どうしよう」と焦りましたけれど(笑)。
――冒頭で「ファンの人たちのもの」というお話がありましたが、鈴木さんが漫画原作のドラマ・映画作品に出演される際、意識していることは?
鈴木:説明が難しいのですが、例えばファンそれぞれが思う作品のイメージってあるじゃないですか。そのイメージって必ずしも完全一致している訳ではないと思うんです。でも、重なる部分はあると思っていて。その重なる部分を絶対にブラしてはいけないと思っています。
――なるほど。
鈴木:あと、これは作品にもよりますし、自分の願望的な話ですが、原作者さんが元々、現実に存在するこんな人と会って、物語を思いついて書いたんじゃないか、くらいのバランスで演じられたら最高だなといつも思っています。存在感、実在感を出したいと言いますか。
――キャラクターが実際にいたらこうではないかと思ってもらいたい。
鈴木:逆ですかね。「冴羽リョウが実際にいたら」じゃなくて、「実際にいるこの人をモデルにして、冴羽リョウを描いたんだ」と思ってもらいたいんです。そこまでいくのが理想ですね。
――貴重なお話、ありがとうございました。今回、憧れのキャラクターを演じることがかなった鈴木さん。今後はどんな役に挑戦してみたいですか?
鈴木:考古学者の役とかやりたいですね。自分の趣味や興味のある分野に関わっている人物や職業を演じたいです。そうしたら、役作りをリサーチするところから楽しいじゃないですか。ぜひ演じてみたいです。
(取材・文:M.TOKU 写真:小川遼)
Netflix映画『シティーハンター』は、Netflixにて世界独占配信中。
鈴木亮平が背負う実写作品への責任とプレッシャー 「ファンのイメージをブラしてはいけない」
関連記事
おすすめ情報
クランクイン!の他の記事もみるあわせて読む
-
「完全に獠と槇村の姿の写真」鈴木亮平、映画「シティーハンター」お気に入りショットを披露
日刊スポーツ5/8(水)18:13
-
奈緒演じる、物語の鍵を握る人物さゆりとは?『告白 コンフェッション』新場面写真
MOVIE WALKER PRESS5/8(水)18:00
-
北山宏光主演「君が獣になる前に」5月10日OA第6話あらすじ テロ発生まであと1日 神崎に琴音(玉城ティナ)が残したメッセージが届く
iza!5/8(水)16:00
-
元天才子役・黒田勇樹、激変した42歳の姿「こうなって…」ドラマ美少年役から30年超、意味深投稿も
スポーツ報知5/8(水)15:30
-
Netflix映画「シティーハンター」“獠”鈴木亮平&“香”森田望智の対談特別映像公開 実写版「100トンハンマー」秘話も
iza!5/8(水)15:05
-
堀田茜&木村慧人の笑顔2ショットに「イルミネーションより輝いてる」「天使過ぎ」の声<好きなオトコと別れたい>
WEBザテレビジョン5/8(水)14:04
-
社会人1・2年生が選んだ「一緒に頑張りたい同期のイメージ」の有名人 男性1位は高橋文哉、女性1位は?
まいどなニュース5/8(水)11:55
-
新田真剣佑、“等身大の青年”役でも独特のオーラを放つ演技力 世界を舞台に研鑽を積む若き実力派俳優
WEBザテレビジョン5/8(水)11:10
-
映画『不死身ラヴァーズ』青木柚&前田敦子のインタビュー映像解禁 入プレは原作者描き下ろしカード
ORICON NEWS5/8(水)9:00
-
-
南海キャンディーズ・しずちゃん(山崎静代)「ZIP!」春の5月金曜パーソナリティーに!水卜麻美アナとやってみたいことは「一緒に食べたりするのも楽しそう」「ガールズトーク」
日テレTOPICS5/8(水)9:00
-
Netflix実写映画「シティーハンター」話題の“100t ハンマー”誕生秘話も! 特別映像&メイキングスチール公開
アニメ!アニメ!5/8(水)8:00
-
鈴木亮平 人気漫画実写化への決意「作品の核となる部分は絶対にブラさない。分かってないと思われるのが一番イヤ」<Netflix映画「シティーハンター」鈴木亮平×森田望智インタビュー>
WEBザテレビジョン5/8(水)8:00
-
「今この世界に“シティーハンター”がいたら、きっとこんな2人なんじゃないかな」鈴木亮平&森田望智 特別対談! Netflix映画『シティーハンター』
otocoto5/8(水)8:00
-
“リョウと香”鈴木亮平&森田望智が対談! 実写映画『シティーハンター』特別映像&メイキングスチール到着
クランクイン!5/8(水)8:00
-
鈴木亮平&森田望智、Netflix映画『シティーハンター』対談特別映像&オフショット「100tハンマー」秘話も
ORICON NEWS5/8(水)8:00
-
心震える予告編完成!『化け猫あんずちゃん』青木崇高、市川実和子ら追加キャストも発表
MOVIE WALKER PRESS5/8(水)7:00
-
久野遥子・山下敦弘W監督×森山未來によるアニメーション映画『化け猫あんずちゃん』青木崇高、市川実和子ら追加キャスト発表
otocoto5/8(水)7:00
-
青木崇高、市川実和子らが追加キャストに カンヌ「監督週間」正式上映作品アニメ『化け猫あんずちゃん』予告編解禁
クランクイン!5/8(水)7:00
-
エンタメ アクセスランキング
-
1
元天才子役・黒田勇樹、激変した42歳の姿「こうなって…」ドラマ美少年役から30年超、意味深投稿も
スポーツ報知5/8(水)15:30
-
2
青井実アナ「イット!」視聴率は榎並アナ時代から大暴落…「このままでは幹部の責任問題に発展する」
デイリー新潮5/8(水)10:50
-
3
熟年夫婦のような雰囲気で… 神田正輝が竹下景子似マダムと「隠れ家デート」 《松田聖子ネタも解禁》
文春オンライン5/8(水)16:00
-
4
春ドラマ16本「視聴率調査」 話題の「アンチヒーロー」「Believe」、早くも失速した作品は?
デイリー新潮5/8(水)11:00
-
5
山里亮太が“好感度バブル”崩壊で大ピンチ…日テレ「DayDay.」視聴率不振の“戦犯”扱い
日刊ゲンダイDIGITAL5/8(水)11:02
-
6
「笑えない」「似てもいない」りんごちゃんのモノマネ写真にツッコミ多数、ワンパターン芸の指摘も
週刊女性PRIME5/8(水)7:00
-
7
関根麻里、親子ショット公開も…激変した父の姿に「二度見しました」「絶対分からない」
ENCOUNT5/8(水)13:26
-
8
元日テレ人気アナ 21歳の姿を公開「さすがのイケメン」「雰囲気違う」「タッキーに見えた」の声
スポニチアネックス5/8(水)12:18
-
9
一部で物議、井上尚弥の“挑発&煽り”に王者が見解「エンタメ性は必要」「全然あり」
ENCOUNT5/8(水)16:02
-
10
佐野慈紀さん 「ぬいぐるみみたい。。。」「至って元気」 右腕切断手術後、初めて写真を公開
TBS NEWS DIG5/8(水)12:25
エンタメ 新着ニュース
-
古川登志夫『鬼滅の刃』半天狗イラスト描き話題 「鳥肌」「走馬灯シーンは切なく…」感想続々
ORICON NEWS5/8(水)18:35
-
話題の「春ドラマ」ランキング2024。『光る君へ』や『アンチヒーロー』を抑えた1位は共感が集まる“あの”ドラマ
ハフポスト日本版5/8(水)18:30
-
中山秀征が故郷の群馬・藤岡市で初の書道個展開催 17日間で3万人超が来場「感謝!」
サンケイスポーツ5/8(水)18:30
-
「ふぉ〜ゆ〜」辰巳雄大 小学校の先輩という人気芸人 今では地元で「2年連続で新年会をやるぐらいの仲」
スポニチアネックス5/8(水)18:30
-
『クレイジージャーニー』丸山ゴンザレス「新しい場所で最初に声をかけてくる人は敵と思え」と語る理由
週刊女性PRIME5/8(水)18:30
-
Saucy Dog石原慎也「やっぱりFコードでつまずくよね」“ギター初心者あるある” を3つ紹介
TOKYO FM+5/8(水)18:30
-
「うまくいかないってしんどいよな」“将来に前向きになれない”10代と語り合ったこと
TOKYO FM+5/8(水)18:30
-
ヒコロヒー、「おじさん、おばさん」の定義に私見「『おばさんなんで』とか自虐的なノリのことを言われると…」
スポーツ報知5/8(水)18:30
-
とろサーモン久保田、M−1優勝後に連絡殺到も炎上経てフォロワー激減「ほらやっぱりな」
日刊スポーツ5/8(水)18:27
-
「ASTRO」チャウヌ、故ムンビンさんを思い涙…「心の中の私がしたい話」
WoW!Korea5/8(水)18:27
総合 アクセスランキング
-
1
元天才子役・黒田勇樹、激変した42歳の姿「こうなって…」ドラマ美少年役から30年超、意味深投稿も
スポーツ報知5/8(水)15:30
-
2
真美子夫人 「ドジャース奥様会」の集合写真で見せた“周囲との違い”に「上品な雰囲気」と絶賛の嵐
女性自身5/8(水)11:00
-
3
青井実アナ「イット!」視聴率は榎並アナ時代から大暴落…「このままでは幹部の責任問題に発展する」
デイリー新潮5/8(水)10:50
-
4
今永昇太、メジャー史上初の快挙!「デビュー先発7試合で防御率1・08&5四球」
中日スポーツ5/8(水)12:12
-
5
伊藤環境大臣 涙流し「深くおわび」水俣病患者らのマイクオフ問題
テレ朝news5/8(水)14:27
-
6
熟年夫婦のような雰囲気で… 神田正輝が竹下景子似マダムと「隠れ家デート」 《松田聖子ネタも解禁》
文春オンライン5/8(水)16:00
-
7
LINEヤフー社長が謝罪 「セキュリティーに注力」
共同通信5/8(水)17:24
-
8
【速報】静岡・熱海市で9歳女児が行方不明に 警察などが捜索
テレビ静岡ニュース5/8(水)16:35
-
9
偽造マイナカードで勝手に機種変更 スマホ乗っ取り…225万円ロレックス買われる被害も
テレ朝news5/8(水)13:15
-
10
春ドラマ16本「視聴率調査」 話題の「アンチヒーロー」「Believe」、早くも失速した作品は?
デイリー新潮5/8(水)11:00
いまトピランキング
東京 新着ニュース
東京 コラム・街ネタ
-
三田に「東京俵おにぎり」 米だけを握った味付けなし「純銀」にリピーターも
みんなの経済新聞ネットワーク5/8(水)17:01
-
子どもの目線の都政への意見やニーズを把握し政策をバージョンアップ!「こども都庁モニター」募集
TOKYO MX+(プラス)5/8(水)17:00
-
投の床田もすごいが、打の床田はもっとすゴイ!あの村上の3連続内角攻めのあとのカーブを打って3勝目
ひろスポ!5/8(水)16:56
-
ローカル誌「こまごめ通信本」最新巻発行 北区・西ヶ原の書店で発売
みんなの経済新聞ネットワーク5/8(水)13:16
-
悪童ジエゴ・コスタ、洪水被災者100人の救助に貢献 グレミオファン大感激「感動で言葉もない」
Qoly5/8(水)12:35
特集
記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C)Broadmedia Corporation. All Rights Reserved.