ファッションが軽やかになってきたので、ヘアも軽くしたい、色を変えて印象チェンジしたい……そんなシーズン到来ですね。

 大人の女性の「ちょっと変えたい」を叶える、春夏におすすめのヘアスタイルをご紹介します。

 手掛けるのは、その人の顔立ち、顔形、髪質の特徴を見抜き、抜群のセンスで似合うスタイルに仕上げてくれる、代官山のヘアサロン・Srawのディレクター、柳亜矢子さん。

 お洒落なスタイルというだけでなく、長年の髪質の悩みも解消するスタイルを提案してくれる柳さんの腕に惚れ込んだ女性は数知れず……すご腕のトップスタイリストです。

「ちょっと色を変えたい」と思った方、ぜひ参考にしてください。


#1 服の色とのコーディネートも楽しい、シックなレッド


服の色とのコーディネートも楽しい、シックなレッド。

 トップスの色とのコーディネートも楽しめて、お洒落がさらに楽しくなる、濃いめのシックなレッド。

 レッドに少し青みがかった暖色をプラスしているので、肌の白さがより引き立ち、明るく透明感が上がって見えます。

 モデルのようにアップスタイルなどのアレンジをしたときに、髪の動きや流れによって色がさらに印象的に見えるのが最大の魅力。“色”の楽しさは満喫できるけれど、決して奇抜すぎる印象にはならない、大人におすすめのカラーです。

オーダーとスタイリングのポイント

 カラーは、レッドに青みの入ったピンクバイオレットを混ぜたカラー剤を全体にオン。10レベルくらいの明るさに。モデルはベースが14レベルくらいのカラーが入った状態でオンカラーしているので、カラーをしていない髪の場合は、二度に分けるか、レベルを12くらいにして入れる。

 ヘアスタイル自体は、ウルフカットがベースで肩につくくらいの長さのロブ。前髪は目にかかるくらいの長さのラウンドカットに。

YANAGI’s Point

 濃いめのレッドは、ハイトーンの金髪などよりも見た目の印象が強くなりすぎず、でも無難ではなくお洒落感が出るので、大人の女性におすすめのカラーです。退色してもゴールドや黄みが強くならず、オレンジブラウンっぽく抜けていくので、自然に退色していく過程も楽しめます。

#2 落ち着きと可愛さが同居する、ピンクボブ


落ち着きと可愛さが同居する、ピンクボブ。

 しっとりした大人の雰囲気と、ちょっとキュートな印象も与える、明るすぎないピンクバイオレット。

 ピンクブラウンのベースにピンクやバイオレットをしっかり入れることによって、光が当たったときにピンクがしっかり発色します。

 前髪のラインも際立つストレートのボブなので、黒髪だとさらにモード感が強くなりますが、ピンクカラーのおかげでふわっと柔らかい雰囲気になっています。

オーダーとスタイリングのポイント

 カラーは9レベルくらいの明るさ。ピンクブラウンをベースに、さらにピンクを強めるため、補色としてピンクバイオレットの色素だけを入れるタイプのカラー剤を混ぜることで、黄みに寄らず、ピンクをしっかり発色させている。

 ヘアスタイルは、あごレングスのレイヤーなしのストレートボブ。前髪は幅広めにとり、眉がちょうど隠れるくらいの長さでカットしたラウンドバングに。

YANAGI’s Point

 ピンク系にしたい大人の女性におすすめの、暗めトーンのピンクカラーです。ベースのカラーをそこまで明るくせず、でもピンクはアクセントカラーとしてしっかり発色するよう考えてあるので、落ち着いた印象もありながら、色も楽しめます。強い色にはできないお仕事の方などにもおすすめです。

#3 青みがかった絶妙トーンのシアーなアッシュベージュ


青みがかった絶妙トーンのシアーなアッシュベージュ。

 かなりロングのレングスでもまったく重たくならない、理想的なアッシュベージュカラー。

 黄みに寄らずクールな雰囲気が漂うのは、補色として青み系の色を入れているから。

 明るすぎないけれど、真っ黒とは違う絶妙なアッシュトーンによって、肌の透明感もアップし、またツヤと毛の流れがきれいに出ています。まるで元からこういう髪の色かのような仕上がり。

 この色のままでミニボブにしてもお洒落。ストレートヘアの人には特におすすめのカラーです。

オーダーとスタイリングのポイント

 カラーはブリーチなしで、10レベルくらいの明るさ。アッシュベージュに、補色としてネイビーに近い青み系のカラーをプラスすることで、より寒色の印象を強めることができ、黄色く色が抜けるのも防げる。

 ヘアスタイルは、胸下までの長さのロングヘア。前髪のみ眉上で直線気味にカットし、ポイントに。

YANAGI’s Point

 モデルの場合は元々の髪色が暗すぎないので、絶妙なアッシュカラーがきれいに出ていますが、もし元の色が黒い場合は、1回でこの色を目指すのではなく、まずブリーチか、またはライトナーなどでトーンアップし、先にベースを作るのがおすすめです。

 色をトーンアップさせることと、アッシュカラーをきれいに出すことは相反する工程になるため、一度で完璧にしようとすると結構難しいので、ベースを作った後、別日にアッシュカラーを入れるのがよいと思います。

#4 軽やかで個性も出せるハイトーンピンクベージュ


軽やかで個性も出せるハイトーンピンクベージュ。

 スタイル自体はごくナチュラルなボブヘアなのに、淡いピンクベージュがファッショナブルな印象を底上げしているお洒落カラー。

 ピンクに寄りすぎず、ベージュの割合が大きいので、肌色とかけ離れた印象や子供っぽい印象にならず、軽やかであかぬけた大人の女性らしさが出せます。

 この軽やかさを出すには、先にワンブリーチするのがベター。春から夏に、今までと違うカラーを楽しみたい人に、特におすすめのカラーです。

オーダーとスタイリングのポイント

 まずブリーチを1回施した後、14レベルくらいのピンクベージュを全体に入れる。ホームケアで、ピンクシャンプーとブラウンシャンプーを混ぜて使用したりすると、色をきれいにキープしやすい。

 ヘアスタイルは、肩にギリギリつかないくらいのボブレングス。トップと前髪は長めにしレイヤーを入れる。スタイリングで、バームやワックスで毛先を外ハネにしたり、ラフに動き出したりすると、カラーもより映える。

YANAGI’s Point

 ハイトーンのカラーは傷むのでは、と心配されるかもしれませんが、最近はピンクシャンプーや紫シャンプーなど、カラーヘア専用のヘアケア剤も色々あり、そういったものでケアすることで、よい状態をキープしやすくなっています。またハイトーンは、お洒落な印象に見せつつ白髪カバーにもなるので、白髪のお悩みがある方にも実は向いています。

#5 肌色トーンアップも叶う、オレンジブラウン


肌色トーンアップも叶う、オレンジブラウン。

 ブラウンベースに、オレンジにピンクを少し混ぜた色を入れることで、全体は引き締めつつも冷たい印象にならず、単なるブラウンよりも柔らかさがプラスされたオレンジブラウンに。

 ストレートのロングヘアが、重たくなく優しい雰囲気になり、肌色もトーンアップして見えるなど、メリットだらけのおすすめカラーです。

 モデルの元々の髪色は黒いので、12レベルと実は比較的明るめのトーンで入れています。アップにするなどアレンジしたときや、自然光のもとだと、さらに色が際立ちます。

オーダーとスタイリングのポイント

 ブラウンと、オレンジにピンクを混ぜた色をプラスした色を全体に入れる。モデルの元の髪色は暗めなので、明るさは10レベルくらいでしっかりトーンアップするように。

 ヘアスタイルは、胸上くらいのレングスのストレートロング。サイドの毛先は多少レイヤーを入れる。前髪をざっくりセンターで分け、パラパラッと毛束をおろす。

YANAGI’s Point

 色白に見せたい、肌に透明感を出したいという場合、アッシュカラーを選ぶ方が多く、暖色は個性も強いし、と抵抗を持たれがちなのですが、実は暖色は肌を明るく色白に見せ、ツヤ感も増して見える、おすすめの色です。

 またアッシュカラーは退色が早く、日本人の髪色だとどうしても黄色っぽく抜けていくことが多いのですが、このモデルさんのようなオレンジピンクを入れていると、ピンクが退色しても黄色っぽくならずパサパサにも見えないので、長期間色を楽しめます。

#6 肩上レングスだからこそできる、ハイトーンのオレンジベージュ


肩上レングスだからこそできる、ハイトーンのオレンジベージュ。

 “外国人の黄み寄り赤毛”みたいなオレンジ色がイメージの、ショートバングのミニボブヘア。

 あえてワンブリーチしてから色を入れ、ブリーチのバサッとした質感も生かしています。

 シルエットはシンプルで短めのレングスなので、色は強めですが首と首回り全体がスッときれいに見える仕上がりに。

 モデルは毛量もしっかりあるので、厚みのあるボブにしているけれど、この色にすることで幼くならず、柔らかさや抜け感が楽しめます。ヘアスタイルと色の関係が完璧。

オーダーとカラーのポイント

 まず先にワンブリーチする。その後黄み強めのオレンジに、ヘーゼル系のカラーを一緒に重ね、全体をオレンジベージュに。セルフケアでオレンジシャンプーを使うと、色をきれいに保ちやすい。

 ヘアスタイルは、リップラインで水平カットにしたミニボブ。前髪のみ眉上2〜3センチくらいで短めにカットし、他はレイヤーを入れず同じ長さに。

YANAGI’s Point

 黄み強めのオレンジのみを入れるとかなりビビッドに発色するので、ベージュトーンの色を一緒に入れて、なじみやすい色にしているのがポイントです。

 このモデルの方や#4のモデルのように、大人の女性がハイトーンカラーを楽しむなら肩上レングスがおすすめです。

 ロングでこのくらい明るい色にするのは、髪のエイジングが目立つなどデメリットが多くなりますが、肩より短めのスタイルなら、品もありスタイリッシュで、あえてこの色にしている、ということが伝わります。

 ファッションのひとつとして取り入れるような感覚で、“明るい色は短めヘアで”を合言葉にカラーを楽しんでいただけたらと思います。

このヘアスタイルを担当したのは……
Srawディレクター・柳 亜矢子さん

2006年、broocH(ブローチ)の立ち上げに参画。2021年7月、代官山に「Sraw」をオープン。サロンワークだけでなく、美容アイテムの商品開発にも携わる。
Instagram:@ayakoyanagi

【協力】Sraw

https://brooch.jp/sraw/

文=斎藤真知子