読売新聞は26日、中国東北部にある北朝鮮レストランなどで人手不足が広がっていると報じ、「閉店する店舗も出てくるだろう」とする、北朝鮮事情通の話を伝えた。中国が、新規の北朝鮮労働者受け入れに慎重になっているためだという。

美貌の女性従業員たちの歌や踊りのショーで、中国人や韓国人観光客に人気を博していた北朝鮮レストランだが、近年では経営環境が悪化していた。

国連安全保障理事会で2017年9月12日に採択された制裁決議2375号は、国連加盟国に対して北朝鮮出身の労働者の新規雇用を禁じた。また、同年12月22日に採択された制裁決議2397号は、2019年末までに、北朝鮮労働者をすべて本国に送り返すことを義務付けた。

しかし、ロシアや中国など北朝鮮の友好国では依然として、多くの北朝鮮労働者が働いている。単に北朝鮮を助けるためだけでなく、ロシア極東や中国東北の深刻な人手不足を補うためでもある。

ただ、北朝鮮レストランの人手不足は、安保理決議に気を使う中国の態度だけが原因ではない可能性がある。北朝鮮が新型コロナ対策で国境を封鎖していた数年間、中国では滞在が長期化した北朝鮮レストランの女性従業員らの脱北が相次いだ。そのため新たな人員の選抜が滞ったり、希望者が減少したりしている可能性もあるのだ。

また2016年4月には、中国浙江省の北朝鮮レストランから女性従業員ら13人が集団脱北した事件を巡っては、関係者が処刑されたとも言われており、それなりにリスクを伴う職場でもあるのだ。

聯合ニュースが同年7月29日、韓国の民間団体、戦後拉北者被害家族連合会の崔成龍(チェ・ソンリョン)理事長の話としてこの情報を伝えた。

崔氏は平壌消息筋からの情報として、金正恩党委員長(当時)の指示により、5月5日に平壌の姜健(カンゴン)総合軍官学校で国家安全保衛部(秘密警察)の要員ら責任者6人が公開処刑されたとしている。

同氏はさらに、「国家安全保衛部、偵察総局、外務省、人民保安部の幹部80人余りと海外派遣労働者の家族100人余りが見守る中で執行されたらしい」と説明。一方、脱北した従業員の家族らについては、妙香山(ミョヒャンサン)の施設に拘束され思想教育が施されたとしている。

こうした刑の執行は言うまでもなく「見せしめ」が目的であり、現場に動員されていなくとも、関係者にはその時の様子が伝わる。多くが20代前半の女性である候補生やその家族が、不安を感じて派遣を諦めるケースも出ているかもしれない。