昔人気だった女性タレントが、テレビの通常番組ではなく、通販コーナーで大げさに歓声を上げるのに、「落ちぶれ」感がするという方は少なくないだろう。

 テレビ朝日「じゅん散歩」の通販コーナーに出演中の新山千春もそうしたタレントの一人だが、彼女の自己アピール戦略には、どうにも危ういものを感じるという見方も――。【冨士海ネコ/ライター】

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 14歳下の男性とのマッチングアプリ婚という話題を引っ下げ、再び世間の注目を集めることに成功した新山さん。前夫である元読売ジャイアンツ選手・黒田哲史さんとの間に授かった愛娘は17歳になったといい、新恋人も含めて仲むつまじい様子が伝わってくる。先日は不妊治療にも取り組んでいることをインタビューで明かし、さまざまな反響を呼んでいた。

 シングルマザーの新しい恋と、それを祝福する娘。それは美談とされる一方で、さまざまな懸念を抱く人もいることだろう。義父から虐待される子どもの事件はしばしば報じられるし、思春期に母親の「女」の部分を見ることに拒否感を示す子どももいるという。

 もちろん新山さんからすれば、そんな心配は無用ということだろう。ことあるごとに、新恋人との関係を後押ししてくれたのは娘だとも語っている。

 が、それでも世間からは疑問の声も少なくない。それは新山さんのように「子どもが新しい恋人になついている」というアピールが、ある種のタレントたちの中でパターン化しているからではないか。

才賀紀左衛門に木下優樹菜も……後ろめたい過去があるほど子どもをダシに使う元パパタレ・ママタレたち

 例えば、才賀紀左衛門さん。前妻のあびる優さんとの間に授かった長女が、新しい恋人にいかになついているかをことあるごとにブログでアピールしていた。あびるさんのことはママと呼ばせず、事実婚相手をママと呼ばせていたほどだ。そのおかげかブログランキングでは常に上位にランクインし、発信するたびにネットニュースに。

 しかし、長女の親権があびるさんに移った後も、娘を引き渡していないことが訴えられると、子どもをPV稼ぎの道具にしているのではと批判が殺到。事実婚も破綻し、長女は2人目の「母」も失うことになった。

 また、木下優樹菜さんも新恋人とのラブラブぶりを頻繁に発信している。FUJIWARAの藤本敏史さんとの間には2人の娘を授かるも、「タピオカ事件」後に離婚し、芸能活動も自粛していた。しかしサッカー選手の三幸秀稔さんとの交際をSNSで投稿したのが話題になると、いつの間にかぬるっと芸能界に復帰。フジテレビの番組にいくつか出演したものの、視聴者からは総スカンを食らった。

 ADHDであることを告白したり、露出度の高い写真集を発売したりと迷走していた木下さんだが、最近は「円満な家庭人」アピールに方向を定めたのかもしれない。事故を起こし謹慎中の元夫・藤本さんに差し入れをする様子だけでなく、韓国に向かう三幸選手との別れを泣いて惜しむ娘たちの写真を自ら発信。それでも今なお、木下さんに対する批判は絶えない。

 新山さん、才賀さん、木下さんは、新しい恋人との関係を「子どもがいちばん応援してくれる」と発信することに加えて、自身の発言が災いとなった過去を抱えている。新山さんは黒田さんとの離婚後、元夫の悪口を言う“ぶっちゃけキャラ”としてバラエティーで大暴れ。黒田さんファンだけでなく、さすがに行き過ぎだと視聴者から反感を買っていた。

 口が悪いけど、家では良き母であり良き父。だから子どもも、自分の新しい恋をいちばん応援してくれている。自らそう発信したがるタレントたちがしらけた目で見られるのは、自分のイメージの悪さや罪悪感を、子どもをダシにすることで帳消しにしようとしているように見えるからではないだろうか。

大事なのは苦労人アピール? ママタレになり損ねたバラエティータレントのセカンドキャリアの難しさ

 同情するわけではないが、日本ではまだまだ、離婚した女性に対して、「女」よりも「母親」を優先すべきだという意識が強い。子どものいるシングルマザーの恋には冷ややかな視線が向けられる。

 例えば紗栄子さんは、ZOZOの前澤友作社長と交際時に大バッシングを受けていた。さらに不倫騒動を起こした女性は大炎上だ。広末涼子さんや福原愛さんなど、スキャンダルをものともせずに復帰した女性はそれなりにいるものの、バラエティータレント界では皆無である。矢口真理さんやベッキーさんら、バラエティー無双を誇った女性たちも今は見る影もない。今は新しい家庭を築いているが、イメージのリセットどころかママタレとしての道は絶たれたも同然だ。

 そう考えると、女性バラエティータレントのセカンドキャリアは、「恋愛」軸では再構築が難しいという現実が見えてくる。もっと言えば、「幸せ」より「苦労」を見せた方が支持を得やすい。小倉優子さんは2度の離婚後、大学受験で話題となった。紗栄子さんも被災地支援など実業家の面を地道に見せ続けることで、世間の態度は軟化。好感度が急落した小島瑠璃子さんは、中国留学を表明した。結婚・出産を経ても自分がママタレ市場に入り込む余地がないだろうことを理解し、さっさと新天地に活動の場を移したのはさすがの嗅覚というほかない。

 その点、新山さんは自分よりも娘が苦労する可能性にあまりにも鈍感ではないかと不安視されているのだろう。元夫の悪口に続いて、「いい娘自慢」で再ブレイクをもくろむようでは、道のりは険しい。

 ただ、新山さんや木下さんの娘たちは幼い頃、親子共演ということでメディアデビューを果たしている。自身だけではなく、芸能界に興味を持つ娘のブレイクもかなえたいという思いもあるのだろう。娘の夢をかなえるために、どんな形であれ芸能界にしがみついていなくては。新恋人との仲良しぶりアピールに、少なからずそんな親心を感じるのは確かだ。新山さんの空回る野心、いや母心が、「失敗は成功の母」となることをただ祈るばかりである。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部