春は卒業の季節。今年もあまたの学生が母校を巣立ったが、中でも世を驚かせたのが、松田聖子(62)が中央大学法学部を卒業していたとの報道だ。通信課程とはいえ、そのカリキュラムは超ハードだという。

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 この件を初めに報じたスポーツ報知によれば、聖子はレコーディングやコンサートなど音楽活動の合間を縫って、数年前から同大の法学部通信教育課程を履修し、必要単位を取得。3月24日に卒業式を迎えたという。

 同紙の取材にご本人は、高校を卒業した年の4月にデビューしたため、大学に進学することができず、そのことが心残りだったと進学の理由を明かしている。

入試はないが卒業は難しい

「入試はありませんが、出るのは大変。お忙しい方でしょうから、ニュースを知った時はびっくりしました」

 とは、同課程を7年前に卒業した、渡邊賢一弁護士。

 大学のHPによれば、通信課程の学習システムはレポート学習とスクーリングから成る。これらを計124単位取得できれば卒業で、4年間の学費は50万円超。在学生の8割は社会人だ。

「一番大変なのはレポートでした」

 と渡邊弁護士が回想する。

「例えば4単位を獲得するには2000字程度のレポートを4回提出し、すべて合格してようやく単位認定試験が受けられる。レポートの採点は厳しく、当時私は市役所勤務で業務で法律を扱っていたにもかかわらず、2回連続で不合格になったこともありました」

「レポートの苦労がよみがえる」

 仕事の昼休みにレポート作成、夜も勉強の日々を送っていたという渡邊弁護士。

 教室やオンラインで授業を受けるスクーリングも必修で、

「レポートを2本書かなくてはならない。オンライン授業の終わりにはテストがあり、それに8〜9割正解しないと受講自体が無効になってしまう。私は入学前に早稲田の理工学部を出ていますが、その時よりよほど勉強しました」

 後に司法試験に合格した渡邊弁護士をしてそう言わしめるのだから、相当ハードなのは間違いない。

 やはり数年前に通信課程を卒業した女性も言う。

「レポートの苦労がよみがえります。指定されたテキストを読んで与えられたテーマに沿って書く。こういうシチュエーションの時に、誰がどのような主張をできるのか、そして自分はどう思うのか。根拠の条文を示しつつ論じなければなりません。レポートに合格しないと提出をいつまでも繰り返すことになるので、うっかりしていると、時間だけが過ぎていく」

卒業まで10年以上かかる学生も

 中には途中で退学してしまったり、あるいは卒業まで10年以上かかる学生もいるが、聖子は4年で卒業したと語っている。

 ちなみに本人は前出の取材で、法律は仕事で身近であり、いつか勉強したいと思っていたため法学部を選んだと述べたが、

「通信課程に入る学生は、法律を体系的に学び、働く上で役立てたいと思っている人が多い。松田さんも長年の芸能活動の中で、自分の身は自分で守らないといけないと思ったのでは」(同)

 来年はデビュー45周年。数々の醜聞を流した彼女だけに、その動機にも根性にも合点がいくのである。

「週刊新潮」2024年4月11日号 掲載