古屋呂敏インタビュー

 2人の迫真の演技が話題になったTBS系ドラマ「恋をするなら二度目が上等」。THE RAMPAGEの長谷川慎とともにダブル主演を務めたのが俳優の古屋呂敏(33)だ。昨年からTBS系ドラマ「VIVANT」、Netflixリアリティシリーズ「オオカミちゃんには騙されない」など、話題作に連続で出演している。役者だけでなく、多彩な顔を持つ古屋の素顔に迫った。

 ドラマ「恋をするなら―」は男性と男性の“オトナの恋”を描いた物語。長谷川と古屋の迫真の演技や近すぎる距離も話題になった。

「長谷川君とはすごく波長が合って、役とプライベートを混同しちゃうところもありましたね。『この子、本当に人として好きだな』と思ってしまって…。難しい役どころでしたが、日々、本当に彼のことを思うようにマインドを変えていきました」

 今回は初めて、男性とキスするシーンもあった。

「本能的にならないと、どこかウソになっちゃうという思いがあって、心を込めてやりました。手の動き、キスの角度、仕方にとても気を付けて撮影に挑みました」

 昨年は、TBSの大ヒットドラマ「VIVANT」にも出演。役者として着実にキャリアを積んでいる。

「本当に貴重な経験でした。あの緊迫した現場を経験したからこそ、度胸がついた気がします。福澤(克雄)監督からは『現場には誰よりも早くいる方が良い』と言われて、実践していました。(主演の)堺雅人さんの現場での立ち振る舞い、準備される姿は何か盗めないかと思って、現場で観察していましたね。僕の大きな財産になっています」

ドローンの資格も

 話題のドラマに出演する一方、モデルやカメラマン、クリエイターとしても活躍。特技はドローンで、商業的にドローンを飛ばす資格も持っている。アメリカやカナダなどで実際に飛ばしたり、地方再生のため自治体と一緒に動画作りもしているという。

「もともと、映像を作ることが好きでした。ドローンを始めたのは、8年前 くらいです。YouTubeで海外のクリエイターさんが飛ばしている映像を見て、『自分もこの景色を撮ってみたい』と思ったんです。日本では、全然普及していない時で、たぶん、僕が日本で初めて見る景色になるというロマンを感じて、すぐに買いました。小さいころから、自分の興味があるものは追求するタイプですね」

 父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。アメリカと日本を行き来する中で、色んな文化や考え方があることに気付いたという。幼いころからファッションや芸術に興味を持つ一方、スポーツも得意だった。小学 1年生からサッカーを始め、高校ではフォワードとして活躍した。高校卒業後もハワイ州立大学に進み、サッカー部に入った。そこで大きな挫折を味わう。

「自分がマイノリティな存在であるということがわかって、すごい衝撃を受けました。アジア人はとても少なく、基本的になめられているんですよね。価値観やバックボーンが違う人たちの中で、どうやって自分を出していくか、すごく苦しみました。そもそも、最初はパスが全く回ってこなかったです」

 ハワイ州立大学はスポーツが活発で、本土から選手をスカウトしてきたという。奨学金を勝ち取るために、そうした選手よりも結果を出さなければいけなかったが、それはほかの選手も同じ。選手同士が激しくやり合うこともあったという。激しいタックル、足の裏を向けたスライディング……過酷な競争が続く中で、自身に変化が生まれた。

「摩擦とかを起こすタイプではなかったんですが、相手に対して自分の意見を言わないと対等な関係が築けないんです。向こうの人は、僕がパスを出して、取れなかったら、『お前、どこにパスを出してんだ』ってなる。そこで謝ったら、なめられるので、『いや、お前がどこに走ってんだよ』と言い返さないとダメなんです。僕にとっては、自我を形成する上で大きな経験でしたね。1年目はすごく頑張って、2年目から奨学金をもらえるようになりました」

カレンダーを発売

 闘志を内に秘めながら、普段は笑みを絶やさず、優しいオーラに包まれている。先日は、自身が初めてセルフプロデュースしたカレンダーを発売、ファンとも交流した。

「自分が本当に好きで愛おしいものがテーマです。一緒に住んでいる猫の写真が少し多めに入っています。猫の名前は『うい』。ハワイ語で『可愛い』という意味です。とても親バカな名前なので、お恥ずかしいんですが(笑)。1人でも多くの人に買ってもらって、笑顔になってもらえたらうれしいですね」

デイリー新潮編集部