独裁体制

 ローソク国内シェアの半分近くを占める「カメヤマ」(本社・大阪市)は、谷川家による同族経営会社。9年前に勃発した「お家騒動」を経てもなお、三代目社長(故人)の妻、谷川花子会長(80)の専横ぶりが止まらない。むしろ、ますます拍車がかかっているという。

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 カメヤマの創業は1927年2月。100年近い歴史を誇る老舗で「お家騒動」が勃発したのは2015年4月のこと。当時71歳の谷川花子会長主導のもと、取締役会に解任動議が提出され、谷川晋(すすむ)社長がその座を追いやられた。独自路線を歩み出そうとして花子会長の反感を買ったからだった。花子会長にとって晋社長は、娘の結婚相手。つまり、姑が娘婿を放逐したのだ。

 花子会長は輸入キャンドル販売を手掛ける「キャンドルハウス事業部」を成功させ、女帝としての地位を築いた。晋社長の解任劇以降、社長ポストは花子会長の兼任が続いている。

 カメヤマの幹部が明かす。

「解任から2カ月後に開かれた株主総会で、会長は晋さんを取締役からも外そうとしました。ところが、他でもない会長の夫で三代目社長の谷川誠士名誉顧問が異を唱えた。しかし、結局は16年6月、晋さんは夫婦共々、カメヤマから追い出され、誠士さんが20年9月に他界すると、会長の独裁体制は、ますます勢いづいたのです」

噂のK氏

 極めつきは、周囲から「愛人」と噂されるK氏をカメヤマの取締役に迎え入れようとしたことだった。

「未亡人となってから会長は、勤務先である三重の亀山工場に週二日程度しか顔を見せません。あとはゴルフ三昧。一回り以上年の離れたKさんと知り合ったのも津市のゴルフ場でした。一昨年の春、会長はKさんを取締役に登用しようと、会社に履歴書を提出させた。そこには、大学卒業後の35年間の経歴として、“オーストラリアを拠点に世界釣り修業&投資・運用の勉強”と、わけの分からないことが書かれていました」

 いくらなんでも、と他の取締役らが花子会長を説得。相談役で納得してもらったとか。

「相談役に報酬はありません。その代わりに、会長は従業員用宿泊施設をKさんにタダで宛(あ)てがいました。さらに、電気、ガス、水道代なども会社で負担し、社用車のレクサスも自由に使わせています」

 なぜ、K氏が花子会長に取り入れたかと言えば、「予言者」としての顔を持っていたからだと目されている。

「週刊新潮」2024年4月18日号「MONEY」欄の有料版では、花子会長の独裁体制について詳報する。なお、当の花子会長は、「Kさんは愛人ではなく、友だちです。私自身、会社を私物化しているとは思いも寄らないことです」などと語っている。

「週刊新潮」2024年4月18日号 掲載