特定抗争指定の呪縛

 6代目山口組の総本部の「責任者」が新しく決まったという。これに伴い、長らく使用を制限されている神戸市内にある総本部に動きがあるのかが注目されているという。

 6代目山口組が、2020年1月に暴力団対策法に基づく「特定抗争指定暴力団」に指定されてすでに4年以上が経過した。これにより、定められた警戒区域内では、5人以上の組員で集まったり事務所に立ち入ったり対立組織の事務所周辺をうろついたりといった行為が禁じられ、違反すれば逮捕されることとなった。6代目山口組の拠点がある兵庫、そして大阪、愛知など府県下の市町は軒並み警戒区域となっており、そこでの活動がままならない状態だ。

 関係者の間で「篠原」と呼ばれる6代目山口組の総本部も、組員の出入りが絶対NGというわけではないようだが、使用を制限されていることは間違いない。執行部の定例会合の開催場所としても当然使えず、警戒区域外の直参組織の事務所で開くなどの対応を余儀なくされている。

責任者に指名されたのは

 先月末、総本部の責任者に指名されたのは、2代目杉組(本部:愛知県名古屋市)の北島虎(たけし)組長だった。

 北島組長は5代目時代に直参を務め、山口組が分裂直後のタイミングでは総本部の当番責任者となっていた。ちょうどその頃、総本部内で撮影されたと見られる動画が流出、LINEで拡散されたことで「LINE親分」などと呼ばれたこともあった。一方で、ビジネス的に成功を収めた組長としても知られているという。

 常識的に考えれば、総本部の最高責任者は、当然、組織のトップである司忍組長ということになる。では、今回任命された総本部の責任者の担務とはどういったものなのか。

「ガレージの見張り当番とか、警察の家宅捜索がありそうならその対応など、総本部を訪れようとする者やそれに関する行事に目配りをするということなのでしょう」

 と、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。しばしば話題になってきた、年末の餅つきのようなイベントも、その1つなのかもしれない。

抗争との関連性

 このタイミングでの責任者任命の背景については諸説あるようだが、「そろそろ総本部を制限なしに使用したい、できるかもしれないと踏んでのこと」と指摘する声もある。彼らにとってそのための「最善の状況」は、特定抗争指定から外されることなのは間違いない。実際、これまでも特定抗争指定の解除を望む声が6代目山口組執行部から出ていたことは確かなようだ。ただし、それを当局が認めるとは考えづらいのだが……。

「今回の人事は、総本部への来訪者の増加やいわゆる手間ひまが増えることなどを想定したものとみられています。実務が増える以上は、担当者が必要ですから。ただ、その前提として、傘下組織が神戸山口組など敵対組織との抗争を回避したり、報復行為を慎んだりする必要が当然あるでしょう」(同)

 これが抗争が少なくなる兆しであるならば、一般市民にとっても朗報なのだが、果たしてどうなのか。

デイリー新潮編集部