「阪神1−1中日」(26日、甲子園球場)

 勝利につながれば最高やったけど…。阪神の佐藤輝明内野手(25)が四回に右翼フェンス上部を直撃する先制の適時三塁打を放った。7日の1軍復帰後初で、甲子園では2カ月ぶりの打点。フェンス手前への大飛球もあり、復調気配を感じさせた。延長十二回は昇格後初失策でピンチはつくったが、今季5度目の引き分け。次戦こそ快音で勝利へ導いてや!!

 きれいな放物線を描きながら、右翼へグングンと伸びていった。佐藤輝が気持ち良くバットを振り抜いて、ゆっくりと走り出す。「いや〜、もうね、いったと思ったんですけど、風と甲子園にやられましたね」。白球はスタンドインかと思われたが、フェンスの最上部に当たった。

 両軍無得点の四回2死一塁。相手先発・涌井の初球カーブを捉えた。最後は右手一本で確信したようにフォロースルー。2ランとはならなかったが、一走・前川を本塁に迎え入れた。余裕たっぷりに三塁へ到達。今季初の適時三塁打となった。

 「打った感触が良かったので、本塁打にならずに悔しい気持ちもありますが、緊迫した試合展開の中で先に点を取ることができて良かったです」

 5月11日のDeNA戦(横浜)以来、51打席ぶりの打点。甲子園では4月21日の中日戦以来、2カ月以上ぶりの打点になった。6月7日に1軍復帰してから、待ちに待った一本。「(手応えはいい?)そうっすね、はい」と、さらなる上昇を感じさせた。

 25日から復調の気配が漂っていた。倉敷マスカットスタジアムでの一戦では、スカッと復帰後2度目のマルチ安打。そして、この日も3度の凡退は全て飛球と打球の角度が上がっている。七回1死もあとひと伸びで一発という当たりだった。

 延長十二回には守備でミスはあったが、これが復帰後の初失策。「バウンドが変わったので、対応できなかった」。それでも、再昇格後は難しい打球も必死にこなしていて、普段は辛口の馬場内野守備走塁コーチも「少しずつ球際もスローイングも良くなっているんだけどね」と優しく改善を促した。

 昨季は6月25日に抹消となり、ファームで鍛錬の10日間を過ごした。今季も5月に2軍生活を経験したが、ようやく佐藤輝らしさが戻ってきた。打撃練習から打ち損じが少なくなり、本調子は目前まで迫っている。

 チームはリーグ戦再開後、4試合で4得点と貧打に苦しみ続けている。そんな時こそ、若き大砲の一撃が打線の勢いを変えるはずだ。打球が上がってきたことを問われると、「そうっすね。いいかなと思います」。佐藤輝が猛虎打線爆発の鍵を握っている。