Lightningといえば「ミリタリー」というキーワードは外せない。この30年の歴史を振り返ってみるといつの時代でも「ミリタリー」にまつわる情報を誌面でピックアップしてきている。ミリタリークロージングから戦闘車両に至るまで、いつの時代も質実剛健なプロダクツに興味が尽きることはない。そんなミリタリー特集をライトニング編集部員が振り返りつつ語った。

背景を感じて想像を巡らせられるのもミリタリーの魅力。

ミリタリー沼にどっぷり肩まで浸かるライトニング編集部員のモヒカン小川とADちゃん。フライトジャケットに身を包む歴戦のヒコーキ野郎たちに憧れて、いつしか大空を自由に飛んでみたいぜと夢想する、ピュアな心を持ったアラフィフ編集部員である。ふたりがこれまでのミリタリー特集を思い出話とともに振り返った。

モヒカン小川(以下モ)/ライトニングの昔の特集を振り返ると、やっぱりいろんなミリタリーネタの取材をやってんのな。

ADちゃん(以下A)/小川さん、そういえば昔エドワーズ空軍基地に行ってましたよね? これ、今で言うところの聖地巡礼?

モ/そうなんだよ、チャック・イェーガーがサウンド・バリヤー(音速の壁)を超えた場所をどうしても見たくなってな。1947年10月17日にエドワーズ空軍基地のあるビクタービルの上空で音速を超えたんだよなぁ。そんな彼と同じ空を見ていると思うと、なんかこう胸にグッと込み上げてくる熱いものがあるよな。彼ももう亡くなっちゃったし……。

A/めちゃくちゃロマンチストですね。小川さんのそのハードな見た目からは全然想像できないっす。でもミリタリー好きってロマンチストが多い気がする、なんででしょうね?

モ/それなんか分かるな。ミリタリーってさ、いろんな背景が感じられるじゃない? 例えばA‒2フライトジャケットにしたってバックペイントとかあるじゃん。あれってアメリカという国は移民による多民族国家だから何かに帰属する意識がどこか薄かったりするのね。だから自分が所属する部隊への帰属意識を高めるために、仲間同士で同じバックペイントを背負ったりしてたんだよな。

2010年Lightnning 11月号は「LOVE FLIGHT JACKET」。戦うために生まれたウエアは、そのシンプルなデザインと機能に特化したスペックで、その後のアメリカンカジュアルの基盤を作った。そんな軍服に魅せられた編集部員がいろんな角度でミリタリーネタを掘り下げた特集号

A/へぇー深いい話しっすね! 平和ボケした日本人の日常からしてみたら、ミリタリーという世界はある意味、現実からかけ離れている事柄だから、いろんな想像を掻き立てられたりして、逆にドキドキやワクワクさせるような感情を抱いちゃう。そこにシビれる! あこがれるゥ! 俺もミリタリー由来の技術とかにワクワクしちゃいますもんね。電子レンジとかのマイクロ波ってなんなんすかね、あれ。殺人ビーム?

モ/元々は軍事用レーダーの技術だろ、確か研究者のポケットに入っていたチョコレートバーが、その軍事用レーダーの実験中によく溶けることからマイクロ波の効力を発見するに至ったていう話。でもまさか、それをヒントに調理器具として電子レンジを発明するとは。それを考えた奴の頭の中身、かなりぶっ飛んだ発想してんな。

A/そのぶっ飛び具合もロマンを感じるっすよね。そういえば俺、SR‒71ブラックバードにもロマンを感じるっす。冷戦構造が生み出した「超音速・高高度戦略偵察機」という呼び名だけで、ご飯を何杯もおかわりできそう。

モ/お、ロッキード・マーティン社のスカンクワークスの奴か。それを設計した所長のケリー・ジョンソンの存在もぶっ飛んでるよな。本誌ライトニングの由来となったP‒38ライトニングも設計してるし、U‒2ドラゴンレディもやばいよな。機体中央の直列にしか着陸用の車輪が無いなんて狂ってやがる。

A/そうなんすよね。ケリー・ジョンソンの設計、最高っす。話戻しますけどSR‒71の最高速度、マッハ3(秒速1㎞)ですよ! アメリカ西海岸(ロサンジェルス)から東海岸(ワシントンDC)まで67分で飛行しちゃうんすよ! だってチャック・イェーガーが初めて音速を超えたのが1947年のことで、マッハ3で飛ぶSR‒71の初飛行が1964年すよ!? たった17年の歳月で軍用機がここまで進化するなんて凄くないですか!? 特に俺がSR‒71にロマンを感じる部分を語っていいですか! だってあの機体、熱膨張を考慮してるから地上では機体外装パネルの隙間から燃料がダダ漏れなんですよ! その不思議な設計構造ってなんなんですか? やっぱり宇宙人からの技術供与なんですかね?

モ/落ち着け、燃料じゃなくてお前のミリタリー愛がダダ漏れ過ぎてる。

2007年Lightnning 12月号の特集は「え? 軍用ジープとボンドカー?」。だって少年はいつだってカッコイイものが好きなんだもの。だからお宝ミリタリーを求めて旅に出る。そんなミリタリー好きの童心が拗れてすぎて、なぜか軍用ジープとボンドカーのコレクターを取材

ミリタリーネタを求めて世界を巡るライトニング編集部。

A/失礼しました、やっぱりロマンって人を愚かにさせますね。

モ/それはADちゃんだけだよ(笑)。実は俺、SR‒71のコクピットに座ったことあるんだぜ? ロッキード社の本社を取材した時に特別に乗せてもらったんだ。

A/ウヒョー! めちゃ羨ましい! そういえば映画『トップガン・マーヴェリック』の冒頭でSR‒71の次世代機SR‒72をオマージュした架空の極超音速有人偵察機、あれのデザインもスカンクワークスが関与してるんですよね。

モ/なんかあの映画、チャック・イェーガーもオマージュしてるよな、マーヴェリックがテストパイロットやってるし。最後は都合よくF‒14トムキャットが活躍するしな。これもロマン?

A/ロマンっす。俺もマーヴェリックみたいにテストパイロットになりたいです! どうしたらなれますかね?

モ/うーん、TVドラマの『ブラッシュアップライフ』みたいに人生を何回もやり直せたら、いつかはなれんじゃねーの? まぁ次にADちゃんが生まれ変わったらアリクイとかになりそうだけど。

A/アリクイに生まれ変わったら全然ミリタリーカルチャーが楽しめないじゃないですか!

モ/そうしたら馬はどうだ? その革を鞣して運が良ければA‒2フライトジャケットになれるんじゃね? まぁ自分がそうなっちゃうのもアレだけど。

A/そんな狂った発想をしちゃう小川さんも、十分ぶっ飛んでますね。やっぱり次も人間に生まれ変わってミリタリーを楽しみたい!

2006年Lightnning 12月号は「街角のミリタリー」。オーバースペックなミリタリー物こそ魅力的に見えてしまう。使う予定はなくても持っていたい。そんなオトコ心をくすぐる街角のミリタリーにフォーカス。モヒカン小川が1万円を握りしめて、ミリタリーの総本山MASHに潜入! 2009年Lightnning 10月号の特集は「飛行機の祭りはとにかくスゲェ」。この号では趣味人の聖地を巡る旅特集。自転車の聖地デトロイトや、カーレースの本場インディアナポリスなどをリポート。中でも全米最大の航空ショーEAA Air Venture Oshkoshを取材。B-25ミッチェルなど往年の大戦機は憧れる!

編集者のミリタリーへの愛情が、いい意味で溢れ出す。誌面をプレイバック!

2010年 Lightnning 9月号 Vol.197より抜粋「人類が初めて音速を超えた空。」

アメリカ合衆国のカリフォルニア州の東部のモハヴェ砂漠にあるエドワーズ空軍基地。この場所はベルX-1によって人類が初めて音速を超えた場所を取材。いわゆるミリタリー好きの聖地巡礼旅みたいな、ロマンチックな企画であった。

2011年 Lightnning 9月号 Vol.209より抜粋「夏のミリタリー。」

ミリタリーはフライトジャケットなどの存在から秋冬のイメージがあるけど、今回はその逆張りで「夏」に特化したミリタリー特集を企画。夏の定番アクティビチであるキャンプとBBQを、ミリタリースタイルで楽しんだりなんかしちゃったりして(笑)

2013年 Lightnning 1月号 Vol.225より抜粋「TYPE A-2は襟で選べ。」

なんとも刺激的なタイトルである。フライトジャケットの代表格であるA−2は「襟」で選ぼうってどういうこと? その真髄は「襟をどうあしらいたいか」ということ。A-2をカッコよく着こなした、往年の兵士のスタイルは今も参考になる!

2011年 Lightnning12月号 Vol.212より抜粋「タイプA-2の『手塗り』に挑戦!」

様々な経年変化を楽しむため、A-2の味出しをするために「手塗り」にフォーカス。ヌメ革(素上げ)の状態から手塗りにてラセットブラウンの規定色に近づける作業を、バズリクソンズ亀屋さんとモヒカン小川がに挑戦した。

2009年 Lightnning 12月号 Vol.188より抜粋「CONTRACTOR’S MAP in N.Y., U.S.A.」

2009年当時、国内外で初めてエアロレザー社承認に元、同社のA-2を細部に至るまで完全リプロダクトさせたザ・リアルマッコイズ。その検証のためLightning編集部は、かつてエアロレザー社が存在したニューヨーク州ビーコンへ足を運んだ。

2010年 Lightnning12月号 Vol.200より抜粋「P-38ライトニングを知ってるか?」

祝200号を数えた記念すべき2010年のLightning12月号。本誌の雑誌名のルーツであるロッキードP-38ライトニングの特集記事。飛行可能なライトニングは世界中にわずか7機しか存在せず、その全てを紹介する軍用機ファンが喜ぶ内容だ。

(出典/「Lightning 2024年5月号 Vol.361」)

著者:Lightning 編集部