学習院大の卒業式に桜色の本振袖と紺色の袴姿で臨む愛子さま。お祝いの言葉をかけられると、嬉しそうにほほ笑んだ=3月20日、東京都豊島区、代表撮影/JMPA

 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは20日、学習院大学文学部の日本語日本文学科を卒業した。愛子さまは卒業式に、春らしい桜色の本振袖に紺色のはかま姿で出席。友達とおなかをよじって笑い合い、新型コロナの困難を経験し、「青春」の思い出を刻んだ目白キャンパスに別れを告げた。

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 愛子さまは、20日に目白キャンパスであった卒業式に参加する前に報道各社の取材を受けた。記者から「卒業おめでとうございます」と声をかけられると、

「充実した4年間を過ごすことができました」

 とほほ笑んだ。

 記者からの質問に、宮内庁を通じて回答した文書には、新型コロナ禍とともに始まった大学生活での戸惑いが素直に書かれていた。

「経験したことのないオンライン授業、インターネット上での課題の授受など、最初は操作も分からず、不慣れな手つきで恐る恐る画面を開き、授業を受講していたことを懐かしく思い出します」

 感染流行が落ち着いた4年生からは大学で授業を受け、友人と交流できるようになったこと。

 当たり前のことが尊いものであると実感したこと。

 高校までの友人たちとの再会や大学でできた新しい友人たちとの交流、一緒に授業を受け、話し、笑い合ったことが「私にとって忘れることのできない一生の思い出」となったとつづった。
 

四季の花が描かれた桜色の本振袖と紺色の袴、わずかにのぞく赤い帯がアクセントになっている=3月20日、東京都豊島区、代表撮影/JMPA

■「うわーっ」と歓声

 愛子さまは2006年に学習院幼稚園に入園してから大学を卒業するまで、18年の歳月を学習院で過ごした。幼稚園と大学がある目白キャンパスも、友人たちとおしゃべりを楽しみ、笑いあい、さまざまな思い出を作った場所になったようだ。

 学習院女子高等科に進学した年の春、愛子さまは学習院大の目白キャンパスで催された「オール学習院の集い」に参加していた。

 高等科への進学とともに制服のスカーフは紺から黒に変わり、愛子さまの雰囲気は、すこしお姉さんらしいものになっていた。
 

四季の花が描かれた桜色の本振袖が風になびくさまが美しく、紺色の袴がすっきりとした若々しさを引きたてる=3月20日、東京都豊島区、代表撮影/JMPA

 しかし、やはり愛子さまも「年ごろの女の子」だ。

 昼食には食堂で食券を購入してカレーの列に並び、食堂のテーブルに一緒に座った仲良しの友達とにぎやかな女子トークを展開。身体をよじるようにしながら、どっと弾けるような笑い声を何度もあげていた。カレーもペロリと召し上がったようだ。
 

 公益財団法人アイメイト協会のコーナーで、募金箱を持つ視覚障害者の前でピンクの財布から千円札を出し、すこしだけ恥ずかしそうにしながら募金箱に入れていた愛子さま。

 そのあと、愛子さまたちのところに駆け寄ってきた女の子が何かささやき、「うわーっ」と歓声が上がった。どうやら知り合いの男子生徒がいる運動部が活動しているようで、愛子さまたちは全速力で目的地の方向へ走っていった。

 学習院の中・高等科は、女子生徒は戸山キャンパス、男子生徒は目白キャンパスにそれぞれの校舎があるため、日常的に顔を合わせることがないのだという。

 しばらくすると、愛子さまたちが走りながら戻ってきた。女の子たちは、にっこり笑ってピースサイン。愛子さまたちは顔をくっつけて、ひとりがカメラを持った手を伸ばして4人一緒に自撮りをしていた。

 この日の愛子さまと友人たちは、キャッキャと笑い声をあげながら、キャンパス内を隅から隅まで走り回っていた。
 

つまみ細工の花があしらわれた髪飾りも、まるで春風のような愛子さまによくお似合い=3月20日、東京都豊島区、代表撮影/JMPA

 大学生として過ごした目白キャンパスでの4年間も、愛子さまにとって大切な時間になったようだ。「私にとって忘れることのできない一生の思い出」とつづった言葉には、宝石箱のような青春の日々が凝縮されているのだろう。

(AERA dot.編集部・永井貴子)