新たな「憑依型」の女優として話題の森田望智(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 4月にスタートした朝ドラ「虎に翼」(NHK)は、テンポのよい演出と俳優陣の軽妙な掛け合いで「15分間があっという間に終わる」と評判も上々だ。主演の伊藤沙莉を筆頭に演技力の高い俳優陣が並ぶなか、特に視聴者の目を引いているのが、ヒロイン・猪爪寅子の親友である花江を演じる森田望智(もりた・みさと、27)だ。

 寅子の兄(上川周作)と結婚し、寅子の義姉となった花江は、少々クセのあるおっとりとした話し方が特徴的。ふわふわとしたキャラクターながら、当時の女性の王道だった結婚ではなく、法の道に進もうとする寅子に対し「どうしてもほしいものがあるならば、したたかに生きなさい」という言葉を投げかける芯の強い一面も持ち合わせている。

 そんな花江を演じる森田について、テレビ情報誌の編集者はこう話す。

「独特の声や間、ひょうひょうとしながらも強さを感じさせる森田さんの演技は、存在感が際立っています。視聴者も注目しているようで、特に4月19日放送回で見せた涙の演技は『花江ちゃん』がSNSのトレンドランキングに入るほど。猪爪家に嫁いで姑との関係性に悩みつつ、寅子が自分から離れていくように感じて、明るく振る舞いながらも実は孤独を深めていた花江。目を真っ赤にして秘めていた素直な思いを口にしたシーンに、もらい泣きした視聴者も多かったようですね」

「全裸監督」は世界中で配信された=2019年9月6日、東京で開かれたネットフリックスの発表会

■共演者から「怖かった」と言われる憑依型

 森田といえば、2019年に配信され話題をさらったNetflixドラマ「全裸監督」を思い浮かべる人も多いだろう。伝説のセクシー女優・黒木香を口調やしぐさに至るまで再現し、黒木が憑依したのかと思うほどの体当たりの演技は世界にインパクトを与えた。

「教養ある女子大生から性の開拓者へと変貌を遂げた女性を見事に体現していた森田さん。オーディションには、ペンとアイライナーで脇毛を描いていったというエピソードからも、役に対する真摯さがうかがえます。共演の山田孝之さんは、インタビューなどで彼女を『とにかく真面目』と話していました。自分の出番がない時もずっと山田さんたちの芝居を見ていたそうです。演技も全力で来るため、山田さんも全力で受け止めたとのことで、『めちゃ疲れた』『(全部くい尽くされる感覚で)正直怖かった』とインタビューで明かしていました。実力派俳優も驚かせる憑依的な演技力が彼女の大きな武器であることは間違いありません」(同)

 演技力で高い評価を得ている森田だが、実はダンスがうまいことでも有名だ。過去に天海祐希の主演ドラマ「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」(日本テレビ系・2020年)で、森田は若いナース役で出演していたが、エンディングダンスで披露した森田のキレのある見事なダンスに「レベルが違う」と視聴者が驚いたこともあった。

2019年の第24回釜山国際映画祭での森田望智(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

■実家は裕福な家庭!?

「森田さんの特技はフィギュアスケートとクラシックバレエと公表しています。フィギュアスケートは3歳から10年間続けていたそうですが、上達のために別にクラシックバレエも習っていたとインタビューで話していました。彼女のしなやかさや品のあるたたずまいは2つの習い事で培われたのかもしれません。また、あるインタビューでは、スケートをはじめて3年目くらいで『私はスケート選手にはなれないな』と思ったと話していました。その理由が新しく入ってきた子に、2カ月くらいで抜かれてしまったからだとか。森田さんは才能を持った子には勝てないと気づき、その後は練習がつらかったと明かしています。すぐに本質を見抜いてしまう力があり、そのうえで自身を客観的にみられる人なのでしょう」(女性誌のライター)

 一方で、バラエティー番組などでは、かわいい声やおだやかな口調が印象的な森田。自身のSNSではたびたび家族に関する投稿をしており、仲の良さがうかがえる。

「一般人ということもあり、両親の職業など細かい情報までは発信されていませんが、とても愛されて育てられたことが伝わってきます。リラックスした表情の森田さんを父親が撮影したお出かけカットから、エビが怖く殻を父親にむいてもらっているなんていう情報まで、ときどき発信される家族エピソードに癒やされるファンも多いようです。小学校2年のときにデジカメを買ってもらったという話や、幼少期からフィギュアスケートを習っていたことから、ファンからは、森田さんは『裕福な家庭のお嬢さんに違いない』とささやかれています」(同)

■悪女役でも存在感

 芸能ジャーナリストの平田昇二氏は森田についてこう述べる。

「森田さんといえば『全裸監督』での熱演の反響が大きく、海外の映画賞も受賞しました。また、同年放送の『FNS27時間テレビ』の名物コーナーでは、明石家さんまさんが気になった女性を発表する『ラブメイト10』にも選出されていました。もともと、野島伸司さんが脚本を手掛けた配信ドラマ『パパ活』、映画『一週間フレンズ。』や『世界でいちばん長い写真』などに出演していて、業界では注目されていました。『全裸監督』以降では、2020年にFODで配信されたドラマ『あの子が生まれる…』で主演を務めたり、同年のTBS系ドラマ『恋する母たち』で演じた悪女役で独特の存在感を放っていました。朝ドラでの活躍を機により知名度があがっていけば、今後も仕事の幅も広がるでしょう」

 4月25日から配信がスタートしたNetflix映画「シティハンター」では、ヒロインの槇村香役にも抜擢された森田。硬から軟まで、独特の存在感を放つ森田の活躍の場はますます広がりそうだ。

(高梨歩)