飴色の照明に、年季を感じさせるソファ、お店いっぱいに漂うコーヒーの香り……。まちに愛され、時代の移り変わりも経てきた昔ながらの喫茶店は、大分県にもたくさんあります。

その歴史を感じながらゆっくり時を過ごすのもよし、長年愛される名物メニューを楽しむもよし。近年は、あえてレトロ感を特徴にした“ネオ喫茶店”もオープンしています! そんな魅力的な喫茶店を、地元情報誌『シティ情報おおいた』がご紹介します。

店の顔、名物メニューを味わいに

香り高いコーヒーとケーキとともに、
ふぅっとひと息〈こすたりか〉

佐伯市〈こすたりか〉のアメリカンチョコチップケーキとコーヒー
「アメリカンチョコチップケーキ」単品350円。コーヒーまたは紅茶が付く「ケーキセット」は750円。

佐伯市で長く愛されてきた喫茶店〈こすたりか〉が、40年近く提供しているのが、「アメリカンチョコチップケーキ」。アメリカの友人の母親がつくってくれたケーキの味わいに感動してレシピを教わり、試行錯誤の末、誕生しました。

上からメレンゲ、チョコチップ、土台にクッキーが敷かれており、サクサクっとしたメレンゲとチョコチップ、軽やかな食感とクッキーのしっとりとした口当たりが楽しい一品です。サイフォンで淹れるコーヒーとも、香り高い紅茶とも相性は抜群。

サイフォンでコーヒーを入れる店員
当初はジャズを聴かせるコーヒー専門店として1970年に創業。

ふんわりと包み込むような笑顔で迎えてくれるマスターの山本秀機さんと奥さんの美津子さんと会話を交わしながら、ジャズが流れる居心地のいい空間で、ほっとくつろぎのひとときを過ごせそうです。

Information
こすたりか
address:大分県佐伯市内町7-4
tel:0972-23-0582
access:JR佐伯駅から車で約5分
営業時間:11:30〜21:00
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
web:こすたりか

創業から変わらぬ、
丸くてかわいいミルクセーキ
〈道しるべ〉

丸いガラスボウルに盛られた〈道しるべ〉のミルクセーキ
ボリュームたっぷりの「ミルクセーキ」700円。テイクアウトは500円。

開業46年。長年通うファンも多い、昭和の雰囲気漂う宇佐市の喫茶店〈道しるべ〉。レンガ造りの壁やステンドグラスの色合いに、何ともいえない懐かしさを覚えます。

「カツカレー」や「ハヤシライス」、サンドイッチなどの軽食からスイーツまで多彩にそろうこの店で、不動の人気を誇るのが「ミルクセーキ」。のど越しやわらかなドリンクタイプではなく、少し凍ったようなシャリシャリ食感がポイントです。スッキリとした甘さで暑い日にピッタリですが、実は一年中注文が絶えないそう。ぽってり丸いガラスボウルに盛られた見た目もキュート! 

宇佐市〈道しるべ〉の外観
国道10号線沿い。コーヒーがデザインされた大きな看板が目印。

最近では別室に、疲労回復や美肌に効果があると期待される高気圧酸素カプセルも導入。おなかはもちろん、心も体も満たされること間違いなし。

Information
道しるべ
address:大分県宇佐市和気819-1
tel:0978-37-2863
access:JR宇佐駅から車で約3分
営業時間:10:30〜16:00(15:30L.O.)
定休日:月・金曜

こだわりの自家焙煎コーヒーと
自家製ピザを味わう〈喫茶アップル〉

〈喫茶アップル〉の「りんごとハチミツのピザ」
季節限定メニューだったが、好評のためレギュラーメニュー入りした「りんごとハチミツのピザ」1750円。

別府と湯布院を結ぶ九州横断道路の道沿いにある〈喫茶アップル〉は、別府で45年以上にわたって愛されている喫茶店です。

生豆から焙煎する香り高いコーヒーや、店名にちなんだ「アップルパイ」、奥深い味わいの「ビーフシチュー」などが人気です。同じく看板メニューとして長きにわたって愛されているのがピザ。ドイツ版のモッツァレラチーズともいわれる「ステッペンチーズ」を使った自家製の「ベーコン&ポテト」や「シーフード」、「ミックスピザ」など、5種類がそろっています。

別府市〈喫茶アップル〉の外観
坂をグーッと上った高台にある、カジュアルな雰囲気の喫茶店。

喫茶としての利用はもちろん、フードメニューもボリュームたっぷりなのでお食事処として楽しむのもいいかもしれませんね。

Information
喫茶アップル
address:大分県別府市小倉6組
tel:0977-66-7901
access:別府ICから車で約5分
営業時間:10:00〜19:00(18:00L.O.)
定休日:木曜
web:喫茶アップル

歴史あり。まちに根づく老舗喫茶店へ

世代を超えて愛される、ノスタルジックな世界観
〈喫茶レストラン ダイヤル〉

鉄板皿で提供される「ハンバーグ・ナポリタンスパゲティ」
「ハンバーグ・ナポリタンスパゲティ」1300円。リピーター率も高い人気メニュー。

深紅の絨毯にシャンデリア、壁や天井をしっかりと覆った木材の重厚な造りは、モダンな中2階と半地下に分かれた立体的な空間。いまでは珍しい構造の喫茶店とあって、全国各地から訪れる人があとを絶ちません。日田市にある創業75年の〈喫茶レストラン ダイヤル〉では、長きにわたって守られてきたスパゲティやハンバーグ、パフェなど、昔ながらのメニューも健在。

日田市〈喫茶レストラン ダイヤル〉の内観
1948年創業。親子3代にわたって訪れる人も。

なかでもスパゲティは実に60年以上続く古参メニュー。「ハンバーグ・ナポリタンスパゲティ」は、手づくりのデミグラスソースに手ごねハンバーグ、ケチャップであえた太麺に粉チーズをふりかけたスタイルで、生卵を絡めたなめらかな味わいが口中に広がります。地元に根づいた、古き良き昭和の匂いが残るお店は、いまなお訪れる人たちの記憶に刻まれています。

Information
喫茶レストラン ダイヤル
address:大分県日田市三本松1-8-34
tel:0973-22-2479
access:JR日田駅から徒歩約10分
営業時間:11:00〜16:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業、ほか臨時休業あり。電話にて要確認)
Facebook:@DIALrestaurant

半世紀続く喫茶店で楽しむ、
コーヒー好きを虜にする一品
〈喫茶なつめ〉

コーヒー牛乳プリンとコーヒーゼリー、バニラアイスがひとつになったメニュー「珈琲三昧」
「珈琲三昧」950円。

1963年創業。別府の商店街「国際通りソルパセオ」で50年以上営まれる、ノスタルジックな喫茶店〈喫茶なつめ〉。半世紀以上の時を刻んできたお店は落ち着いた雰囲気で、地元住民や観光客など、多くの人が訪れています。

別府市〈喫茶なつめ〉の外観
外には昔ながらのショーケースが。

分厚いトーストやアラモードなど、王道喫茶店メニューが並ぶなかでも人気なのが、「珈琲三昧」。手づくりのコーヒー牛乳プリンと、つるんと滑らかなコーヒーゼリー、バニラアイスをひとつのグラスに詰め込み、ホイップと自家焙煎したコーヒー豆をトッピング。ほろ苦くも甘い口どけは、まさにコーヒー好きを虜にする一品です。

ぽってりとした厚みと重さのあるレトロなパフェグラスも絵になります。“おんせん県”ならではの、温泉水で淹れた「温泉コーヒー」600円とともに味わって。

Information
喫茶なつめ
address:大分県別府市北浜1-4-23
tel:0977-21-5713
access:JR別府駅から徒歩約5分
営業時間:11:30〜16:30(16:00L.O.)
定休日:水曜

王道喫茶で昔から変わらない
手づくりピザを〈喫茶 花樹苑〉

〈喫茶 花樹苑〉のピザランチ
「ピザランチ」(サラダ・ドリンク付き)900円。

オープンから47年の、大分市の老舗喫茶店〈花樹苑(かじゅえん)〉は、大通りから少し入ったところにあるレトロな佇まいの店。1987年からピザの宅配を始め、県内でデリバリーピザの第一人者としてニュースで取り上げられるほど人気だったのだそうです。

大分市〈喫茶 花樹苑〉の外観
照明や小物もレトロでかわいらしい。

「ビーフカレー」や「スパゲティ」、「ホットサンド」など定番の喫茶店メニューが並ぶなか、特に「アメリカンピザ」は人気メニュー。専用のオーブンで焼き上げたピザは、チーズがたっぷりで具材が多く、食べ応え抜群です。マスターがサイフォンで淹れてくれる喫茶店ならではのコーヒーも魅力的で、常連客も多いのだとか。風情ある空間でゆったりとした時間を過ごしてみて。

Information
喫茶 花樹苑
address:大分県大分市王子南町2-22
tel:097-532-0110
access:JR西大分駅から車で約5分
営業時間:10:00〜17:00(16:30L.O.)
定休日:日・月曜

レトロだけど新しい! “ネオ喫茶店”

ノスタルジックな味にときめく、
隠れ家的な喫茶店〈喫茶ムムム〉

「ムムム」とケチャップ文字が書かれたオムライス
ムムムのケチャップ文字がインパクトある「オムライスセット」(サラダ・ドリンク付き)1100円。

40年以上喫茶店だった店舗を譲り受け、2016年に営業スタートした別府市の〈喫茶ムムム〉。居抜きならではの、経年と味わいを感じさせる空間です。11時から提供される「オムライス」は、久住高原の卵と米を使い、濃厚な卵の旨みとバターのやさしい風味が口いっぱいに広がる一品。

別府市〈喫茶ムムム〉の店内
昔ながらの喫茶店の雰囲気も残しつつ、モダンなインテリアも配置されている不思議な空間。

「メロンクリームソーダ」も人気で、滑らかなアイスと真っ赤なチェリーという“王道”とも呼べる組み合わせが懐かしい気持ちにさせてくれます。「喫茶店のクリームソーダ」をコンセプトにしており、グラスやスプーン、お皿も50年前に実際に使用されていたものというこだわりぶり。

ほかにも手づくりスイーツや喫茶店らしいビジュアルのナポリタンなど、店内の雰囲気とマッチするメニューが多数です。

Information
喫茶ムムム
address:大分県別府市中央町1-27
tel:080-3119-5261
access:JR別府駅から徒歩約5分
営業時間:9:30〜16:00(土曜〜17:00)
定休日:不定休
Instagram:@kissa_mumumu

レトロなグルメに出合える、
俳人が営む純喫茶〈純喫茶 草子洗〉

〈純喫茶 草子洗〉のプリンアラモード
「プリンアラモード」700円は1日3食限定なのでお早めに。

重厚感のある扉を開け、コツ、コツと小気味良い足音を響かせながら2階へ。芳醇なコーヒーの香りとともに、店主が迎えてくれます。

2019年に大分市にオープンした〈純喫茶 草子洗(そうしあらい)〉では、ナポリタンをはじめとする軽食に加え、1杯ずつネルドリップで淹れる深煎りコーヒーを提供。さらに、「初恋(イチゴ)」、「とこなつ(ブルーハワイ)」、「紫式部(ブドウ)」など、ネーミングもかわいらしいカラフルなクリームソーダや、フルーツをふんだんに盛った「プリンアラモード」など、喫茶店ならではのメニュー構成です。

大分市〈純喫茶 草子洗〉の店内
店内でアーティストの個展を開催することもあるので、Instagramをチェック。

俳人としても活躍する店主は、自身の俳号である「草子洗」を店名に。月2回、句会も開催しているので、興味のある人は訪れてみて。

Information
純喫茶 草子洗
address:大分県大分市中央町3-6-29 布屋ビル2F
tel:090-4343-4402
access:JR大分駅から徒歩約10分
営業時間:11:00〜17:00
定休日:月・金曜
Instagram:@junkissa.soushiarai

旅の途中にレトロ喫茶でほっとひと息

空間であったり、料理であったり、あるいは人だったり。数十年にわたって愛されるのには理由があります。実際に足を運んでみて、あなたの目で確かめてみてください。すてきな出合いが待っているかもしれませんよ。

*価格はすべて税込です。

credit edit:シティ情報おおいた編集部