1998年度生まれの黄金世代14人目の優勝者となった臼井麗香。今回の勝利で、世代別勝利数が日米通算50勝となり一つの節目を迎えました。しかし、まだまだ上には勝利を重ねている学年が4世代もあるという。

26歳での50勝到達は歴代最速の「黄金世代」

 1998年度生まれの黄金世代からまた新たな優勝者が生れた。悪天候の影響で最終ラウンドが中止になった「アクサレディス in MIYAZAKI」を制したのは黄金世代14人目の優勝者となった臼井麗香。これで黄金世代の優勝数は日米両ツアー通算で50勝に到達した。

黄金世代14人目、そして節目の50勝となった臼井麗香の初優勝 写真:Getty Images
黄金世代14人目、そして節目の50勝となった臼井麗香の初優勝 写真:Getty Images

 学年別で日米両ツアー通算50勝を超えているのは1998年度生まれで5学年目になる(学校の年度は国によって異なるため対象は日本選手のみ)。最も優勝数が多いのは岡本綾子、大迫たつ子という2人の永久シード選手を擁する1951年度で113勝である。内訳は日本が96勝、米国が17勝。米国の勝利はすべて岡本が挙げたものだ。

 日本では大迫45勝、岡本44勝、そして永田富佐子が7勝をマーク。たった3人でこれだけの勝利を重ねているのだからすごい学年だ。

 優勝数2位は1945年度生まれの71勝(日本69勝、米国2勝)。これは樋口久子が1人で記録したものである。

 3位は1976年度生まれの61勝。すべて日本でマークしたもので50勝の不動裕理を筆頭に米山みどり、中田美枝、川崎充津子が勝利を挙げている。

 4位が1985年度生まれの53勝だ。宮里藍が日本15勝、米国9勝の計24勝を挙げ、横峯さくらが23勝、藤田さいきが6勝である。

 そして黄金世代が5番目に50勝に到達した。勝利数が多い順に畑岡奈紗(日5勝、米6勝)、小祝さくら(日9勝)、勝みなみ(日8勝)、渋野日向子(日6勝、米1勝)、原英莉花(日5勝)、大里桃子(日2勝)、新垣比菜、河本結、淺井咲希、高橋彩華、植竹希望、吉本ひかる、小滝水音、臼井麗香(以上日1勝)の14人だ。

 これだけ多くの選手が優勝しているのだから到達スピードは速い。日米通算50勝に達した年齢(達成したシーズンに該当の学年が誕生日を迎えた時の年齢)は1945年度が34歳、1951年度が32歳、1976年度が30歳、1985年度が28歳だったのに対して黄金世代はまだ今年が26歳のシーズンであるから最速だったわけだ。

 これまで日米通算50勝を成し遂げた4学年はレジェンドクラスの大黒柱がいて少人数で勝ち星を量産していた。対して黄金世代は圧倒的な層の厚さでもぎ取ったもの。だからこそ、過去のどの学年よりも速く50勝に達したのだ。

まだまだ「初優勝予備軍」が控える黄金世代

 50勝目となった臼井は成績面では黄金世代の中で目立っていなかった。2019年の「アクサレディス in MIYAZAKI」で最終日最終組を回ったり、初シードをつかんだ2020-21年シーズンは2位が2回あるなど初優勝に迫ったことはあったが、直近の2年はメルセデス・ランキング100位にも入れないほど低迷していた。

6度目の挑戦でプロテスト合格をつかんだ高木優奈も初優勝が期待される黄金世代 写真:Getty Images
6度目の挑戦でプロテスト合格をつかんだ高木優奈も初優勝が期待される黄金世代 写真:Getty Images

 特に昨年は14試合に出場して予選通過はわずか2試合。60台でプレーできたのはたったの1回だった。

 それが肉体改造の効果もあって大変身。主催者推薦で得た今季初出場の機会をものの見事に最高の形で終えたわけだ。

 優勝スコアの36ホールで13アンダーは過去の自己記録である9アンダーを大きく塗り替えるもの。ショットの力強さも精度も増し、昨年は53%程度でしかなかったパーオン率が1試合だけとはいえ約83%という高い数字を叩き出した。

 同じ学年で優勝経験者14人というのはもちろん全学年の中で最多。2番目に多いのが7人(1969年度と1992年度)だからちょうど2倍。信じられない数字である。

 今回の臼井の初優勝で黄金世代の底知れない奥深さを改めて感じさせられた。まだ初優勝に手が届いていない黄金世代は現在メルセデス・ランキング4位につけている天本ハルカや昨年念願のプロテスト合格を果たした高木優奈らがいる。15人目の誕生も近いかもしれない。

宮井善一