先日、あることがきっかけで、霧の中でのラウンドを思い出すことがありました。

ゴルフ場はプレー中に霧が出ることがある

 4月25〜28日に開催された男子ツアーの「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」と、4月25〜27日に開催された女子ステップ・アップ・ツアーの「大王海運レディスオープン」。いずれのトーナメントも霧の発生による天候不良に見舞われ、一時中断を余儀なくされました。

ここまで霧が出るとボールも見えなくなってしまう 写真:AC
ここまで霧が出るとボールも見えなくなってしまう 写真:AC

 どちらの大会も競技を短縮することなく予定どおりのホール数を完遂できたのはよかったですが、前者は静岡県御殿場市、後者は愛媛県松山市と開催場所は違うのに、同時期に霧が発生するのは珍しいと感じました。

 ゴルフを始めたばかりの人は霧に遭遇したことがないかもしれませんが、ゴルフ場は立地条件によって霧が出やすい場所があります。

 標高が高かったり、山奥だから霧が出やすいと決まっているわけではなく、大気の流れによって明け方に出やすい場所と、夕方に出やすい場所があるようです。普段は見晴らしがいいのに、天候状況によって一瞬のうちに一寸先まで見えないくらい霧で真っ白になる場所もあります。

 最近はほとんど見かけなくなりましたが、以前はティーイングエリアに矢印が埋め込まれているゴルフ場もありました。なぜかというと、ティーショットの狙いどころを示すためです。つまり、ティーイングエリアに立ってもフェアウェイがどの方向にあるか分からないくらい、霧で真っ白になるのです。

「そんな状況ではボールが見えないでしょう」と思いきや、当時はキャディーつきプレーが主流でしたから、キャディーさんが目を皿のようにしてボールの行方を追ってくれるのです。

 ティーショットを真後ろから凝視し、打った瞬間に「矢印の右からややスライス!」といった具合に声を出します。そして打った本人が「このへんですかね?」と探しに行くと、「もっと手前です、ここにあります!」とすぐに見つけてくれました。あれは本当に職人芸でした。

 今になって思えば、あんなに霧が出ていたらゴルフ場都合でクローズし、プレー代は取らないのが当然のような気がしますが、キャディーさんがボールを見つけることでラウンドを成立させ、プレー代をしっかり頂くという営業方針だったのでしょう。

プレー中に霧が出たらラウンドを中止するのが一般的

 昨今のゴルフ場は人手不足ですから、セルフプレーが主流になっています。霧の中のショットを一目散に見つけられるキャディーさんなんて、なかなかお目にかかれません。

 昨年の夏に一度、ラウンドの後半に霧が出てボールが見づらくなったことがありました。その時点でラウンドを中止するか、それともボールを打ちながらクラブハウスに戻るか同伴者と相談したところ、「まったく見えないわけではないのでプレーを続けよう」ということになりました。

 一方で、筆者たちの前後の組はマスター室に連絡を入れ、ラウンドを中止していました。コースに残ったのは2〜3組しかいませんでした。

 そのときは誰かがショットを打つたびに同伴者3人が後方からボールの行方を見守り、何とかロストボールなしで18ホールを回り切ることができました。

 ただし、現実的には霧の中のプレーはボールがなくなりやすいですし、目標物がほとんど見えない中でショットを打ち続けるわけですから、好スコアは期待できません。目標物が見えないほうがボールに集中できるのでショットの方向性がよくなるという人もたまにいますが、誰にでも当てはまることではありません。

 ですからプレー中に霧が出たときは、その特殊な条件を楽しめるかどうか、がラウンドを続行する判断基準になります。

 日常生活では濃い霧に包まれて周りが見えなくなることなんてありませんから、個人的には霧の中のゴルフもけっこう好きです。ですがせっかくラウンドをするなら、晴れた日に見晴らしがいいところでプレーしたいというのが、一般的な考えですよね。

保井友秀